ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(南海電気鉄道株式会社)
2022年1月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
南海電鉄は、1884年にわが国初の純民間資本による鉄道会社として設立され、ターミナルのなんばから和歌山(南海本線)・関西国際空港(空港線)・高野山(高野線)等を結ぶ鉄道事業を主業とする。鉄道事業における2020年度の営業距離数は154.8kmと民鉄16社中6位であり、駅数は100駅、車両数は696両を有する。
南海グループは、2021年12月31日現在、連結子会社54社など、計77社で構成される企業グループである。鉄道事業を中心とした運輸業を基軸に、沿線の大阪・和歌山を中心に不動産業、流通業、レジャー・サービス業、建設業等を展開し、創業以来136年間にわたり、地域住民の生活に密着する事業を展開し、沿線価値の向上に取り組んできた。
南海グループは、2021年4月に「サステナビリティ方針」を定め、7つのサステナブル重要テーマ(マテリアリティ)を発表した(図表①)。また、サステナビリティ施策をグループ全社で横断的に推進する組織として、代表取締役社長兼CEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を(図表②)、その事務局として「サステナビリティ推進部」を設置している。2021年度からは、本委員会が中心となって、事業部門と連携しながら目標設定や進捗状況のモニタリング、達成度評価(PDCAサイクル)を推進する方針である。
本ファイナンスでは、南海電鉄の事業活動全体に対する包括的分析を行った。南海電鉄のサステナビリティに関する取り組みを踏まえ、インパクト領域について特定のうえ「①(a)鉄道事業における安全の徹底、(b)顧客満足度の向上」、「②スマートシティの実現」、「③ダイバーシティ&インクルージョン(女性活躍推進)」、「④CO2排出量の削減」の5項目のインパクトを選定し、各インパクトに対してKPIを設定した(図表③)。
図表①:サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)

図表②:サステナビリティ推進体制

図表③:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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安全・安心・満足のさらなる追求 | 鉄道事業における安全の徹底 |
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顧客満足度の向上 |
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夢があふれる未来づくり | スマートシティの実現 |
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一人ひとりが能力を発揮できる職場・ひとづくり | ダイバーシティ&インクルージョン(女性活躍推進) |
目標
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地球環境保全への貢献 | CO2排出量の削減 |
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上記KPIのモニタリング状況
目標と指標(KPI) | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | ||
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1 | 安全・安心・満足のさらなる追求 |
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重大事故:0件 インシデント:2件
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重大事故:0件 インシデント:0件
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重大事故:0件 インシデント:2件
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65.6ポイント(2020年度から0.9ポイント上昇)
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63.7ポイント(2021年度から1.9ポイント低下)
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62.9ポイント(2022年度から0.8ポイント低下)
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2 | 夢があふれる未来づくり |
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2022年3月:泉ケ丘駅前活性化計画スタート |
2022年6月:「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」を設立。 |
公民連携による「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」にて、NANKAIオンデマンドバス、へるすまーと泉北の実証実験を実施。 |
3 | 一人ひとりが能力を発揮できる職場・ひとづくり |
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4 | 地球環境保全への貢献 |
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※第三者保証取得過程において、データ収集範囲の精査に伴う修正を実施。
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