ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(積水ハウス・リート投資法人)
2022年5月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
積水ハウス・リート投資(以下、SHRという)は、日本を代表するハウスメーカーでありディベロッパー事業でも豊富な開発・運用実績を有する積水ハウス株式会社(以下、積水ハウスという)をスポンサーとする投資法人である。SHRは、「戦略的立地」と「高品質」を柱とする「プライム・プロパティ」への重点投資と、積水ハウスグループの総合力とノウハウを最大限活用した成長戦略により、投資主価値の最大化、質の高い社会資本の提供を目指している。
SHRは「資産運用を通じて人・社会・未来を豊かにする」をビジョンに掲げ、SHRの資産運用会社である積水ハウス・アセットマネジメント株式会社(以下、SHAという)が制定する「サステナビリティ・ポリシー」(図表①(*1))をもとに中長期的視点に立った事業活動を展開している。SHAではサステナビリティ・ポリシーに基づき、ESGに関する取り組みの継続的かつ組織的な実践を目的として、サステナビリティ委員会を設置している。同委員会で承認または指示等がなされた事項は、取り組みの進捗状況やステークホルダーとのエンゲージメントの状況について定期的に同委員会へ報告されるほか、適宜SHR役員会への報告も行われている。問題点や課題については改善策を検討し、PDCAを実践することで継続的にフォローアップを行う体制が構築されている(図表②)。
またSHRでは、事業活動を通じたサステナビリティの取り組みについてより具体性をもって推進することを目的に、2020年にマテリアリティを特定している。SHRは本ファイナンスにあたり、環境・社会・経済の変化を踏まえ、マテリアリティの一部表現及び目標(KPI)の見直しを実施している(図表③(*2))。
本ファイナンスでは、SHRのポートフォリオ(資産の種類、エリア等の資産の状況)及びサプライチェーンの観点から、インパクトを生み出す要因について包括的な分析を行った。SHRのサステナビリティに関する取り組みを踏まえ、「気候変動への対応推進」、「資源環境への取り組み推進」、「入居者、テナントへの安心・安全・快適な空間の提供」の3項目のインパクトを選定し、各インパクトに対してKPIを設定した(図表④)。
図表①:サステナビリティ・ポリシー

(*1)2023年にサステナビリティ・ポリシーの見直しを実施。
図表②:サステナビリティ推進体制

図表③:マテリアリティ(重要課題)

(*2)2022年、2023年にマテリアリティの一部表現を見直すとともにマテリアリティの解決に向けた目標(KPI)の見直し及び追加を実施。
2024年には、一部目標を更新。
図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンス契約時に設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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気候変動への対応推進 |
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資源環境への取り組み推進 |
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入居者、テナントへの安心・安全・快適な空間の提供 |
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上記KPIのモニタリング状況
目標と指標(KPI) | 2021年度実績 (2021年4月~2022年3月) |
2022年度実績 (2022年4月~2023年3月) |
2023年度実績 (2023年4月~2024年3月) |
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1 | 気候変動への対応方針 | CO2排出量削減
(2018年度のCO2排出原単位) |
0.048t-CO2/㎡ (ご参考) |
0.027t-CO2/㎡ (ご参考) |
0.033t-CO2/㎡ (ご参考) (※)2023年1月~12月が対象 |
エネルギー消費量削減
(2018年度のエネルギー消費原単位) |
0.165MWh/㎡ (ご参考) |
0.16MWh/㎡ (ご参考) |
0.159MWh/㎡ (ご参考) (※)2023年1月~12月が対象 |
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グリーン認証取得割合向上
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63.2% (その他の取組) |
82.8% (その他の取組) |
83.5% (その他の取組) |
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2 | 資源環境への取り組み推進 | 廃棄物排出量削減
(2018年度の廃棄物排出原単位) |
3.288kg/㎡ (ご参考) |
4.236kg/㎡ (ご参考) |
3.459kg/㎡ (ご参考) |
水使用量削減
(2018年度の水使用原単位) |
1.561㎥/㎡ (ご参考) |
1.543㎥/㎡ (ご参考) (※)2022年1月~12月が対象 |
1.590㎥/㎡ (ご参考) (※)2023年1月~12月が対象 |
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3 | 入居者、テナントへの安心・安全・快適な空間の提供 | 入居者・テナントの安心・安全・快適性向上に資する取り組みの実施
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