ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(三井不動産株式会社)
2022年12月
2023年12月評価更新
2024年12月評価更新
ポジティブ・インパクト評価(要約)
三井不動産株式会社(以下「三井不動産」)は総合デベロッパーとして、オフィスビル、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設、住宅、及びこれらの複数の用途を組み合わせた複合施設など総合的な街づくりを強みとしており、①賃貸事業、②分譲事業、③マネジメント事業、④施設営業事業、⑤その他、と幅広く展開する各事業間で相乗効果を発揮している。
三井不動産は、2024年4月、新たな時代の価値創造を進めていくうえでは、自らを変革し、進化させていく必要があるとの考えのもと、三井不動産グループ自身の存在意義を見つめ直し、「経営理念」を再定義した。新たな経営理念では、GROUP DNA「&マーク」の理念「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける。」に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪として考え、「&EARTH」「&INNOVATION」「&PEOPLE」をGROUP MISSIONとして掲げている。そして、「&EARTH自然とともに、未来をともに」を実現すべく、社会・環境課題解決への取り組みを推進している。コーポレートメッセージに「さあ、街から未来をかえよう」を掲げ、街づくりが常に地球とともにあることを認識し、三井不動産グループ自身がサプライチェーン全体に働きかけることによって地球と共生する社会を目指している。(図表①)。
新たなグループ経営理念の策定と同時に、6つの「GROUP MATERIALITY」を改めて特定した。本業を通じてこれらに取り組み、サステナビリティに貢献していくとしている。(図表②)。
三井不動産は、環境をはじめとするESGへの取り組みを推進するため、「ESG推進委員会」(委員長:代表取締役社長執行役員)及び下部組織である「ESG推進部会」(部会長:ESG担当役員)を設置している。2021年10月には、ESG・SDGsに関する総括機能を担う「サステナビリティ推進部」を新設し、グリーンエネルギーマネジメント、メガソーラー事業等を担う「環境・エネルギー事業部」とともに、全社部門と連携を図りながら取り組みを推進している。2022年4月には、「サステナビリティ推進本部」を新設し、ESG・SDGsに関する取り組みをさらに加速させている(図表③)。
本PI評価では、三井不動産の事業活動全体に対する包括的な分析を行い、「持続可能な地球環境を次世代へつなぐ」、「社会の付加価値の創出と新産業の創造」、「活力に満ち、安心安全な社会の実現」、「すべての人が能力を最大限発揮し活躍できる社会の実現」の4項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表④)。
図表①:経営理念

(2024年12月更新)
図表②:GROUP MATERIALITY

(2024年12月更新)
図表③:サステナビリティ推進体制

(2024年12月更新)
図表④:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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持続可能な地球環境を次世代へつなぐ |
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社会の付加価値の創出と新産業の創造 |
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活力に満ち、安心安全な社会の実現 |
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すべての人が能力を最大限発揮し活躍できる社会の実現 |
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | |||||
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当初 | 2023年12月更新 ※2023年度実績よりモニタリングいたします。 |
2024年12月更新 ※2024年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 持続可能な地球環境を次世代へつなぐ ※2024年12月更新において「環境負荷の低減とエネルギーの創出」より上記テーマに更新 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
変更無し |
5,503千t-CO2 |
3,941千t-CO2 | ||||
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
変更無し |
640千t-CO2 |
616千t-CO2 | ||||
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
- ※目標達成済みのため、2024年度以降本目標は廃止。 |
原則全物件でZEB/ZEH水準の環境性能を実現 |
原則全物件でZEB/ZEH水準の環境性能を実現 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
変更無し |
首都圏25棟の物件共用部・自用部の電力グリーン化達成 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
変更無し |
2022年度発電量:約0.8億kWh/年 |
2023年度発電量:0.7億kWh/年 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
- ※目標達成済みのため、2024年度以降本目標は廃止。 |
2023年度内に「建設時GHG排出量算定マニュアル」を用いた建築時CO2排出量算出および削減計画書提出を建設会社等に義務化すべく準備中 |
2023年10月より「建設時GHG排出量算定マニュアル」を用いた建築時CO2排出量算出および削減計画書提出を建設会社等に義務化 |
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(b)水使用量の低減 |
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変更無し |
変更無し |
0.855(m³/m²・年) |
0.871(m³/m²・年) |
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(c)廃棄物排出量の低減 |
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変更無し |
変更無し |
一般廃棄物:0.0059(t/m²・年) 産業廃棄物:0.0016(t/m²・年) |
一般廃棄物:0.0059(t/m²・年) 産業廃棄物:0.0016(t/m²・年) |
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(d)多様な生物生息環境の保全 |
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変更なし |
2023年3月に「三井不動産グループ生物多様性方針」、「三井不動産グループ保有林生物多様性配慮基本計画」を策定 |
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2 | 社会の付加価値の創出と新産業の創造 ※2024年12月更新において「街づくりを通した「超スマート社会」の実現」より上記テーマに更新 |
優れた機能と品質を備えた街づくりを通した、新たな価値の創造 ※2024年12月の更新に伴い上記テーマは右記へ更新 |
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優れた機能と品質を備えた街づくりを通した、新たな価値の創造 |
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変更無し |
(a)ミクストユース の街づくりを通じた、新たな価値の創造 |
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スマートシティ化推進の代表的PJである「東京ミッドタウン八重洲」完成 |
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(b)イノベーション支援による新産業の創出 |
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- |
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- |
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3 | 活力に満ち、安心安全な社会の実現 ※2024年12月更新において「健やか・安全・安心なくらしの実現」より上記テーマに更新 |
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(a)多様な働き方のニーズに合わせたアセット・ソフトサービスの提供 |
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変更無し |
変更無し |
個別の新築PJ毎に随時取り組んでいるが、目新しい取り組みは無し |
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変更無し |
変更無し |
約4万人 |
約4万人 |
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(b)地域社会と連携した防災の拡充 |
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変更なし |
変更なし |
スマートエネルギープロジェクトの新たな導入案件は無し |
「日本橋一丁目スマートエネルギープロジェクト」着工(2026年3月に竣工予定) |
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4 | すべての人が能力を最大限発揮し活躍できる社会の実現 ※2024年12月更新において「多様な人材が活躍できる社会の実現」より上記テーマに更新 |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
変更無し |
7.7% |
9.2% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
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44.1% |
48.6% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
- ※目標達成済みのため、2024年度以降本目標は廃止。 |
100% |
100% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
- ※目標達成済みのため、2024年度以降本目標は廃止。 |
16.2日 |
16.2日 |
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(b)人権の尊重 |
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変更無し |
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2022年度に新たに追加でサプライヤーアンケートを実施した先は無し |
2023年度は対象先を拡大し、中堅ゼネコン22社、小規模ゼネコン・工務店84社に実施。その内中堅ゼネコン2社、小規模ゼネコン・工務店4社において改善に向けた働きかけを実施 |
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