2023年2月

2023年8月評価更新

2026年1月評価更新

ポジティブ・インパクト評価(要約)

IHIは、1853年創設の日本初の近代的造船所「石川島造船所」を起源としており、造船で培った技術をもとに陸上機械、橋梁、プラント、航空エンジンなどに事業を拡大してきた。「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、ものづくり技術を中核とするエンジニアリング力で世界的なエネルギー需要の増加、都市化と産業化、移動・輸送の効率化などの社会課題の解決に貢献していくことを目指している。現在では、資源・エネルギー・環境、社会基盤、産業システム・汎用機械、航空・宇宙・防衛の4つの事業分野を有する総合重工業グループとして、国内だけでなく、アジア、北米、欧州、中南米などの各国においてグローバルに事業を展開している。

IHIグループは、社会と共に発展するよき企業市民であることを第一義とし、「技術をもって社会の発展に貢献する」「人材こそが最大かつ唯一の財産である」という2つの経営理念のもと、IHIグループビジョンにより社会的使命を果たすとしている(図表①)。また、事業活動を通じた社会課題の解決によってもたらされる「社会的価値」、利益とキャッシュからなる「経済的価値」に加え、社会価値と経済価値を未来に向けて継続するサステナブルな「時間的価値」を重要な概念であるとしており、これら3つを企業価値の軸に据えた経営を行っている。

本PI評価では、IHIの事業活動全体に対する包括的分析が行われた。IHIのサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「①カーボンニュートラル実現への貢献」、「②GHG排出量削減」、「③持続可能な社会の実現」、「④ダイバーシティ&インクルージョン推進」の4項目のインパクトが選定された。そして、各インパクトに対してKPIが設定された。インパクト①~④は、主としてIHIのマテリアリティ(図表③)に係るものであり、インパクト①はアンモニア燃焼設備やメタネーション技術の開発・実用化に向けた取組み状況等、インパクト②は事業活動におけるGHG排出量の削減、インパクト③は環境法令の遵守状況、廃棄物排出量、取水量等、インパクト④はIHIの経営幹部候補の多様化等である。今後、これら4項目のインパクトに係る上記KPI等に対して、モニタリングが実施される予定である。

図表①:経営理念とグループビジョン

経営理念とグループビジョン

図表②:サステナビリティ推進体制図

サステナビリティ推進体制図

図表③:重要課題(マテリアリティ)

重要課題(マテリアリティ)

図表④:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 主な内容 主なKPI(指標と目標) SDGs
カーボンニュートラル実現への貢献 2050年のバリューチェーンでのカーボンニュートラル実現への取組み
  • (a)

    アンモニアバリューチェーンの社会実装

    目標

    製造分野

    • 2028年度までにグリーンアンモニア製造・供給開始(インド:最大40万t/年間)

    貯蔵・輸送分野

    • 2026年度までにアンモニア貯蔵用大型タンクを実用化
    • 2026年度までにLNG貯蔵タンク転用開発完了

    利活用分野

    • 2028年度を目途に温室効果ガス排出量を50%以上削減するアンモニア燃焼バーナの開発・実用化
    • 2026年度までに温室効果ガス排出量を100%削減するアンモニア専焼ガスタービン(2,000kW級)を開発・実用化
    指標(KPI)

    アンモニアバリューチェーンの社会実装に向けた取組み状況

  • (b)

    メタネーション技術の開発・実用化

    目標

    2030年にメタン合成量(10N㎥/h規模)において、既存技術を上回るエネルギー変換効率60~65%(補器損込)を実現

    指標(KPI)

    メタネーション技術の開発・実用化に向けた取組み状況

  • (c)

    グリーントランスフォーメーション実現

    目標

    グリーントランスフォーメーション実現に向けた産・学・官・金とのオープンな連携による協働ソリューションの実現・実用化

    指標(KPI)

    グリーントランスフォーメーション実現に向けた産・学・官・金とのオープンな連携による協働ソリューションの実現・実用化に向けた取組み状況

7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
GHG排出量削減 工場・事務所などにおけるGHG排出量を、省エネルギー機器の採用や、老朽化設備の更新、アンモニアなど自社の新技術の採用により削減する
目標

2030年度にGHG(Scope1、2)排出量(総量)を2019年度比半減

指標(KPI)

GHG(Scope1、2)排出量(t-CO2

13 気候変動に具体的な対策を
持続可能な社会の実現 工場・事務所等における環境負荷軽減(同社及び連結子会社)
  • (a)

    環境法令遵守

    目標

    環境法令違反と重大な環境事故発生ゼロ

    指標(KPI)
    • 環境法令違反件数
    • 重大な環境事故発生件数
  • (b)

    廃棄物の3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進

    目標

    2025年度に廃棄物排出量を2022年度比3%以上削減

    指標(KPI)

    廃棄物排出量(トン)

  • (c)

    適正な水利用の管理

    目標

    2025年度に取水量を2022年度比3%以上削減

    指標(KPI)

    取水量(千㎥)

6 安全な水とトイレを世界中に
12 つくる責任 つかう責任
ダイバーシティ&インクルージョン推進 多様な人材の活躍
目標

2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする

指標(KPI)

役員に占める女性比率(%)

5 ジェンダー平等を実現しよう

上記KPIのモニタリング状況

テーマ 目標と指標(KPI) 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績
当初

2023年8月更新

2022年度実績よりモニタリングいたします。

2026年1月更新

2025年度実績よりモニタリングいたします。

1 カーボンニュートラル実現への貢献
  • (a)

    アンモニア燃焼設備の開発・実用化

  • (a)

    アンモニアバリューチェーンの社会実装

目標
  • 2024年度までに温室効果ガス排出量を20%削減するアンモニア混焼ガスバーナーを開発・実用化
  • 2025年度までに温室効果ガス排出量を100%削減するアンモニア専焼ガスタービン(2,000kW級)を開発・実用化
変更なし
目標

製造分野

  • 2028年度までにグリーンアンモニア製造・供給開始(インド:最大40万t/年間)

貯蔵・輸送分野

  • 2026年度までにアンモニア貯蔵用大型タンクを実用化
  • 2026年度までにLNG貯蔵タンク転用開発完了

利活用分野

  • 2028年度を目途に温室効果ガス排出量を50%以上削減するアンモニア燃焼バーナの開発・実用化
  • 2026年度までに温室効果ガス排出量を100%削減するアンモニア専焼ガスタービン(2,000kW級)を開発・実用化
  • アンモニア混焼ガスバーナー:碧南火力発電所アンモニア混焼実証事業につき、燃料アンモニアの大規模な混焼技術の確立に向けた実証事業が大きく進展。燃料アンモニアの大規模燃焼の実証開始時期を1年前倒しし、2024年3月より開始する予定。2020年代後半の商用運転を目指し、燃料の20%を石炭からアンモニアに置き換えて実証実験を行う方針。商用火力発電所での大規模な実証実験は世界初となる。
  • アンモニア専焼ガスタービン(2,000kW級):既に開発済であり、2025年度に向けた実用化を進めていく段階。
  • アンモニア混焼ガスバーナーおよびアンモニア専焼ガスタービン(2,000kW級)の開発・実用化に関する取組みについて、碧南火力発電所アンモニア混焼実証を2024年4月に開始。
  • 2023年度はバリューチェーンの上流から下流の各分野にて検討が進み、各社との協業が実現。上流のアンモニア製造・供給ビジネスではインド/ACME社とグリーンアンモニアの製造販売に関する協業に合意。貯蔵・輸送分野ではノルウェー/Yara社やオランダ/Vopak社と等の経験豊富なパートナーと供給体制構築の検討を開始。下流のアンモニア利活用分野ではシンガポール/SEMBCORP社・米/GE社とIHIの3社で専焼大型ガスタービン採用に向けた検討を開始する等、バリューチェーン構築に向けた活動が大きく進展。
  • 2024年6月に碧南火力発電所アンモニア混焼実証は完了し、窒素酸化物、二酸化炭素をはじめとする、有害物質、温室効果を持つ物質を石炭燃料比で抑制することに成功。本実証試験の燃焼性(安定性、窒素酸化物排出濃度など)、プラント運用性、安全性が評価され、2025年度エンジニアリング功労者賞・奨励特別賞を受賞するなど、世間からも高い評価を受けている。また、実証を通して、アンモニアの輸送、燃焼、制御の一連の流れに関する安全性確保のための、教育、訓練、設備運用をJERAと共同で実施。
  • 2024年6月より、同社の相生事業所にてアンモニア専燃小型ガスタービン(IM270)の長期耐久試験を開始。同ガスタービンに関する技術開発は順調に進展。
指標(KPI)

アンモニア燃焼設備の開発・実用化に向けた取組み状況

指標(KPI)

アンモニアバリューチェーンの社会実装に向けた取組み状況

  • (b)

    メタネーション技術の開発・実用化

目標

2030年にメタン合成量(10N㎥/h規模)において、既存技術を上回るエネルギー変換効率60~65%(補器損込)を実現

変更なし
変更なし
  • エネルギー変換効率60~65%(補器損込)を実現するためには、「ハイブリッドサバティエ技術」、「PEMCO2還元技術」が必要であり、同社はぞれぞれの技術の「スケールアップ開発」を担っている。進捗状況としては、スケールアップを進める上で、スケールアップの設計指針が必要であること、スケールアップ時に大きなボトルネック課題が顕在化するリスクがあることを課題認識し、解決方法について検討した段階。
  • スケールアップ開発の一環として、2023年11月に日本ガイシより二酸化炭素(CO2)と水素(H2)から都市ガスの燃料等に利用できるe-methane(合成メタン、CH4)を製造するメタネーション標準機を受注。

日本ガイシ工場内の燃焼炉から回収したCO2を用いて製造したe-methaneを、燃焼炉の燃料として再利用するカーボンリサイクルの実現性を評価する実証試験で使用される予定(2024年12月に納入予定)。

  • 西部ガス、JCCL、九州大学、日本ガス協会、ひびきエル・エヌ・ジー、北海道ガス、広島ガス、日本ガスが共同で検討を進めていた「地域原料活用によるコスト低減を目指したメタネーション地産地消モデルの実証」が、2023年9月27日付けで環境省の令和5年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(二次公募)」に採択。地域資源である再生可能エネルギーの余剰電力や近隣工場から発生する副生水素・未利用CO2を有効活用したメタネーションにより、地産地消でe-methane製造コストの低減と環境価値提供を目指すもの。e-methane製造(実証運転)は2025年度にひびきLNG基地内で実施予定。
  • その他、国内初のe-メタンの都市ガス(バイオガス)原料利用として知多市・東邦ガスと連携した実証や、オンサイトメタネーションとして太平洋セメント宛(2024/3月竣工)、日本ガイシ宛(2024/12月納入予定)等も順調に進捗。
  • 東邦ガス株式会社知多e-メタン製造実証施設向けに、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)から都市ガスの原料などとして利用できるe-メタン(合成メタン,CH4)を製造する「メタネーション標準機」を納入。同社のメタネーション標準機としては商用第1号としての納入であり、製造されたe-メタンが都市ガスの原料として利用されるのは国内初となる。
  • 施設の運用には、同社が提供する運転・保守支援システム「MEDICUS NAVI」が採用されており、運転状況のリモートモニタリングに加え、実証運転により生み出される環境価値(削減されるCO2量等)を算出、可視化するサービスを提供。
指標(KPI)

メタネーション技術の開発・実用化に向けた取組み状況

  • (c)

    グリーントランスフォーメーション実現

目標

グリーントランスフォーメーション実現に向けた産・学・官・金とのオープンな連携による協働ソリューションの実現・実用化

変更なし
変更なし
  • 核融合の産官学組織(核融合産業協議会)の発起人の一社として参画。
  • 2024年1月には、熱マネジメントによる北九州地域のグリーン・トランスフォーメーション(GX)の推進を目的とした連携協定を締結(北九州市×日本IBM×IHI)。

東北大学やISCE2(シンガポール科学技術研究庁傘下の研究機関)との連携に加え、2023年度はスタンフォード大学SUNCATとの共同研究を始め、IHIグループとパートナーのそれぞれの強みを生かした連携を進め、先駆的な技術開発を取組み。

シンガポール科学技術研究庁とのCO2を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)商用化加速に向けたMoUを調印する等に取組み。

指標(KPI)

グリーントランスフォーメーション実現に向けた産・学・官・金とのオープンな連携による協働ソリューションの実現・実用化に向けた取組み状況

2 GHG排出量の削減
  • (a)

    事業活動におけるGHG排出量の削減

事業活動におけるGHG排出量の削減

目標
  • 政府方針(2030年度までに2013年度比46%削減)に沿うCO2排出量削減
  • 工場・事業所などにおけるCO2排出原単位を前年度比1%低減
目標
  • 2030年度にGHG(Scope1、2)排出量(総量)を2019年度比半減
  • 工場・事業所などにおけるCO2排出原単位を前年度比1%低減

取組み方針変更に伴い、見直しております。

目標

2030年度にGHG(Scope1、2)排出量(総量)を2019年度比半減

  • GHG排出量15.1%削減(2019年度比)
  • CO2排出原単位15.4%低減(2021年度比)
  • GHG排出量16.6%削減(2019年度比)
  • CO2排出原単位0.006%増加(2022年度比)
  • GHG排出量22.4%削減(2019年度比)
  • CO2排出原単位24.3%低減(2023年度比)
指標(KPI)

CO2排出原単位(t-CO2/億円)

指標(KPI)
  • GHG(Scope1、2)排出量(t-CO2
  • CO2排出原単位(t-CO2/億円)

取組み方針変更に伴い、見直しております。

指標(KPI)

GHG(Scope1、2)排出量(t-CO2

3 持続可能な社会の実現
  • (a)

    環境法令遵守

目標

環境法令違反と重大な環境事故発生ゼロ

変更なし
変更なし

0件

0件

0件

指標(KPI)
  • 環境法令違反件数
  • 重大な環境事故発生件数
  • (b)

    廃棄物の3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進

目標

廃棄物排出量について2018年度実績を上回らないこと

変更なし
目標

2025年度に廃棄物排出量を2022年度比3%以上削減

2022年度は23,044tとなり、2018年度実績29,010tを下回ったもの。

2023年度は25,410tとなり、2018年度実績29,010tを下回ったもの。

2024年度は21,942tとなり、2018年度実績29,010tを下回ったもの。

指標(KPI)

廃棄物排出量(トン)

変更なし
  • (c)

    適正な水利用の管理

目標

取水量について2018年度実績を上回らないこと

変更なし
目標

2025年度に取水量を2022年度比3%以上削減

2022年度は4,037千㎥となり、2018年度実績4,182千㎥を下回ったもの。

2023年度は5,844千㎥となり、2018年度実績4,182千㎥を上回ったもの。

2024年度は4,662千㎥となり、2018年度実績4,182千㎥を上回ったもの。

指標(KPI)

取水量(千㎥)

変更なし
4 ダイバーシティ&インクルージョン推進
  • (a)

    経営幹部候補の多様化

経営幹部候補の多様化

目標

2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする

変更なし
変更なし

18%

18%

29%

指標(KPI)

役員に占める女性比率(%)

プレスリリース

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