ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(株式会社リコー)
2023年6月
2024年5月評価更新
ポジティブ・インパクト評価(要約)
リコーは、複合機や商用印刷機等を製造する国内トップクラスのOA機器メーカーであり、近年はオフィス関連のITサービスに注力している。
リコーは、創業の精神である「三愛精神」(人を愛し、国を愛し、勤めを愛す)に基づき、環境保全と事業成長を同時実現する環境経営に早くから取り組んできた。また、目指すべき持続可能な社会の姿として、経済(Prosperity)・社会(People)・地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれた社会「Three Ps Balance」を掲げている(図表①)。2018年には、環境・社会・ガバナンス分野の中長期課題を経営レベルで継続的に議論するため、CEOを委員長とするESG委員会を設置し(図表②)、同委員会の下でサステナビリティ活動を推進している。
リコーは、「Three Ps Balance」の実現に向けてマテリアリティ(重要社会課題)を特定し、定期的に見直しを行っている。2022年度には、「事業を通じた社会課題解決」とそれを支える「経営基盤の強化」の2つの領域で7つのマテリアリティを特定するとともに、各マテリアリティに紐づく16のESG目標を設定し(図表③)、同目標の達成度合いと執行役員の評価・報酬を連動させている。
本PI評価では、リコーの事業活動全体に対する包括的分析が行われた。リコーのサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「1.脱炭素社会への貢献」「2.循環型社会への貢献」「3.地域・社会への貢献」「4.グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化」「5.多様性の尊重、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現」の5項目のインパクトが選定された。これらのインパクトは、いずれもリコーのマテリアリティに係るものであり、各インパクトに対してKPIが設定された(図表④)。
図表①:リコーグループの目指すべき持続可能な社会の姿「Three Ps Balance」

図表②:サステビリティ推進体制

図表③:マテリアリティへの取り組み


図表④:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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脱炭素社会への貢献 |
SBT1.5℃認定目標を掲げ、自社排出のGHG大幅削減を進めるとともに、社会全体の脱炭素に貢献する商品・ソリューションを提供していく
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循環型社会への貢献 |
3R・プラスチックの削減/代替を強化し、プリント・オンデマンドの提供により、顧客の資源の効率利用に貢献する
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地域・社会への貢献 |
オフィスソリューションで培ったデジタル技術・ノウハウを活かし、医療・教育・地域サービスの質の向上を支援
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グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化 |
ビジネスパートナーとの協働を強化し、自社・ビジネスパートナー・社会とWin-Win-Winな関係を構築
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多様性の尊重、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現 |
経営方針である「自律型社員の活躍」に沿い、社員の多様性を尊重しイキイキと働ける環境を整備
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | |||
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当初 | 2024年5月更新 ※2023年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 脱炭素社会への貢献 |
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(a)徹底的な省エネ・GHG削減活動の展開 |
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(b)再生可能エネルギーの積極的な利活用 |
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30.2% |
33.6% |
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変更なし
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2 | 循環型社会への貢献 |
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目標通り、2025年に材質表示と単一素材化が完了できる見込み |
目標通り、2025年に材質表示と単一素材化が完了できる見込み |
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3 | 地域・社会への貢献 |
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1,001万人 ※路面モニタリングサービスを受注した自治体でその効果を享受できるであろう住民数 |
1,794万人 ※医療・自治体・教育ソリューションを通し効果を享受できる人数(路面モニタリングサービスを受注した自治体でその効果を享受できるであろう住民数を含み、次年度以降も同様。 |
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4 | グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化 |
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2023年度からの取組みであり、2022年度実績無し |
セルフアセスメントの実施完了 |
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5 | 多様性の尊重、ディーセント・ワーク (働きがいのある人間らしい仕事)の実現 |
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