2023年3月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

DICは、「サステナビリティ基本方針」のもと、「基幹的なテーマ」、「基幹~差別化テーマ」、「独自性を発揮するテーマ」からなる13の「サステナビリティ・テーマ」を設け、それぞれ「中期方針」と年度ごとの「DICグループサステナビリティ活動計画」を作成し、テーマごとにPDCAを回しながら取り組みを進めている。また2022年度に策定した長期経営計画「DIC Vision 2030」において、貢献する社会を「グリーン社会」、「デジタル社会」、「QOL社会」としたうえで同社の強みを活かせる5つの重点事業領域を定め、「社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築」するとともに、「地球環境と社会のサステナビリティ実現に貢献」することを目指している(図表①)。

社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」では、各テーマの進捗状況が定期的に報告されるほか、サステナビリティ推進に係る方針・計画の立案をはじめ、サステナビリティに係る重要事項の審議が行われ、審議内容及び結果は取締役会に報告されている(図表②)。また中長期で同社のパフォーマンスに大きな影響を与え得る「重要課題(マテリアリティ)」(図表③)を特定しており、今後それらに対して改めてKPIを設定する考えである。

本PI評価では、DICの事業活動全体に対する包括的分析を行っており、サステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「①社会の持続的繁栄に貢献する価値の創出」、「②カーボンニュートラル社会の実現」、「③資源循環型社会の創出」、「④人的資本価値の最大化」、「⑤保安防災と労働安全衛生及び化学品・製品安全の推進」の5項目のインパクトを選定し、各インパクトについて目標及びインパクト指標(KPI)を設定した(図表④)。

図表①:サステナビリティ基本方針及びDIC Vision 2030

「DIC Vision 2030」基本方針

「DIC Vision 2030」の目指す姿

「DIC Vision 2030」基本戦略

図表②:サステナビリティ推進体制

図表③:マテリアリティ

図表④:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
社会の持続的繁栄に貢献する価値の創出
サステナブル製品の拡大による社会の持続可能性への貢献
事業ポートフォリオの構築を通した、成長市場における事業拡大と新規事業の創出
目標

2030年度、同社グループにおけるサステナブル製品の売上高比率60%

指標(KPI)

同社グループにおけるサステナブル製品の売上高比率

3 すべての人に健康と福祉を
7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
カーボンニュートラル社会の実現
カーボンニュートラル社会の実現
  • a)

    事業所におけるCO2排出量削減

    目標

    2030年度、グローバルの事業所におけるCO2排出量(Scope1&2)50%削減(2013年度比)

    指標(KPI)

    同社グループのグローバルの事業所におけるCO2排出量削減率(Scope1&2)(2013年度比)

  • b)

    サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量削減

    目標
    • 2027年度、同社グループのScope3カテゴリー1はサプライヤーエンゲージメントを購入金額80%相当を対象に実施
    • 2030年度、同社グループのScope3カテゴリー2,3,4,5,12における温室効果ガス排出量13.5%削減(2019年度比)
    指標(KPI)
    • Scope3カテゴリー1について、同社グループの購入金額に対するサプライヤーエンゲージメント実施割合
    • 同社グループのScope3カテゴリー2,3,4,5,12における温室効果ガス排出量
7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
13 気候変動に具体的な対策を
資源循環型社会の創出
サーキュラーエコノミー活動の底上げと事業を通じた拡大
  • a)

    産業廃棄物の削減

    目標

    2023年度、国内同社グループにおける廃棄物の有効利用率80%以上

    指標(KPI)

    国内同社グループにおける廃棄物の有効利用率

  • b)

    水資源の管理

    目標

    2030年度、同社グループのグローバルの生産拠点における中リスク拠点と抽出した水リスク先への管理実施率100%

    指標(KPI)

    同社グループのグローバルの生産拠点における水の中リスク拠点のリスク管理実施率

  • c)

    バリューチェーン横断での資源循環に資する活動

    目標

    バリューチェーン横断での資源循環に資する製品の開発・提供推進

    指標(KPI)

    バリューチェーン横断での資源循環に資する活動推進状況

6 安全な水とトイレを世界中に
12 つくる責任、つかう責任
人的資本価値の最大化 人的資本価値を最大化する戦略的人材ポートフォリオの構築
多様性のある人材確保と活躍支援
目標
  • 2026年度1月時点、同社単体における女性管理職比率8%
  • 2025年度、同社単体における男性社員育児休業取得率30%
指標(KPI)
  • 同社単体における女性管理職比率
  • 同社単体における男性社員育児休業取得率
5 ジェンダー平等を実現しよう
保安防災と労働安全衛生及び化学品・製品安全の推進 安全・環境・健康への取り組み推進
レスポンシブル・ケアの推進
目標
  • レスポンシブル・ケア活動を通じて人の安全・健康、環境の保護がより一層確保される社会の実現
  • 同社グループにおける無事故無災害の達成
  • 2024年度、CIGNASシステムのグローバル(日本地区・中国地区・アジアパシフィック地区)運用開始
指標(KPI)
  • レスポンシブル・ケア活動の推進状況
  • 同社グループにおける総労働災害度数率
  • CIGNASシステムの運用状況
3 すべての人に健康と福祉を
8 働きがいも経済成長も
12 つくる責任、つかう責任

上記KPIのモニタリング状況

目標と指標(KPI) 2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績
1 社会の持続的繁栄に貢献する価値の創出
  • 事業ポートフォリオの構築を通した、成長市場における事業拡大と新規事業の創出

事業ポートフォリオの構築を通した、成長市場における事業拡大と新規事業の創出
目標

2030年度、DICグループにおけるサステナブル製品※1の売上高比率60%

※1DICグループのすべての製品のうち、社会への貢献と環境負荷の2つの軸を基準とした独自の指標である「サステナビリティ指標」に基づき、DICの強みを発揮し社会課題の解決に貢献できるカテゴリーに分類された製品をいう。

  • EUのサステナビリティ開示規制であるCSRDへの対応が必要になる等、社会からの要請が厳しさを増したことを背景に、従来のサステナブル製品の認定基準について、修正、見直し中。
   
指標(KPI)

DICグループにおけるサステナブル製品の売上高比率

2 カーボンニュートラル社会の実現
  • (a)

    事業所におけるCO2排出量削減

(a)事業所におけるCO2排出量削減
目標

2030年度、グローバルの事業所におけるCO2排出量(Scope1&2)50%削減(2013年度比)

  • CO2排出量41.9%削減(921,386 t-CO2⇒534,889t-CO2
   
指標(KPI)

DICグループのグローバルの事業所におけるCO2排出量削減率(Scope1&2)(2013年度比)

  • (b)

    サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量削減

(b)サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量削減
目標
  • 2027年度、DICグループのScope3カテゴリー1はサプライヤーエンゲージメントを購入金額80%相当を対象に実施
  • 2030年度、DICグループのScope3カテゴリー2,3,4,5,12における温室効果ガス排出量13.5%削減(2019年度比)
  • 同社グループは気候変動リスクを低減するため、また、SBTに認定されたScope3関連目標を達成するため、取引先と連携し購買原料に関わるCO2排出量削減を推進する方針。2023年には、その第一段階として、日本において購買金額の90%を占める取引先に対して、CO2排出量低減に関する中長期目標の設定状況を確認するとともに、本取組の周知、啓発活動を実施。
  • 2019年度比、温室効果ガス排出量22.96%増加(1,543,951t-CO2⇒1,898,469t-CO2)。2022年度比では10.91%削減(2,130,862t-CO2⇒1,898,469t-CO2)。
   
指標(KPI)
  • Scope3カテゴリー1について、DICグループの購入金額に対するサプライヤーエンゲージメント実施割合
  • DICグループのScope3カテゴリー2,3,4,5,12における温室効果ガス排出量
3 資源循環型社会の創出
  • (a)

    産業廃棄物の削減

(a)産業廃棄物の削減
目標

2023年度、国内DICグループにおける廃棄物の有効利用率80%以上

  • 有効利用率90%
   
指標(KPI)

国内DICグループにおける廃棄物の有効利用率

  • (b)

    水資源の管理

(b)水資源の管理
目標

2030年度、DICグループのグローバルの生産拠点における中リスク拠点と抽出した水リスク先への管理実施率100%

  • 左記2030年度目標の短期目標として設定した高リスク拠点の管理実施率75%。2023年度は新たに水リスク3拠点を対策し、累計で11/15拠点が完了。
   
指標(KPI)

DICグループのグローバルの生産拠点における水の中リスク拠点のリスク管理実施率

  • (c)

    バリューチェーン横断での資源循環に資する活動

(c)バリューチェーン横断での資源循環に資する活動
目標

バリューチェーン横断での資源循環に資する製品の開発・提供推進

  • 四日市市と「脱炭素社会の実現及び継続的な産業振興の両立に関する包括連携協定」を締結。四日市市の公共施設にポリスチレンの食品容器の回収箱などを設置し、回収物の種類、量、品質の調査などの共同実証試験を行い、今後のリサイクルの可能性を探る。将来的には、市内で回収された食品容器をDICならではの多様なリサイクル技術を用いて原料プラスチックに再生し、食品容器の資源循環を目指す。
   
指標(KPI)

バリューチェーン横断での資源循環に資する活動推進状況

4 人的資本価値の最大化
  • 多様性のある人材確保と活躍支援

多様性のある人材確保と活躍支援
目標
  • 2026年度1月時点、DIC単体における女性管理職比率8%
  • 2025年度、DIC単体における男性社員育児休業取得率30%
  • 女性管理職比率8.1%(2024年1月実績)
  • 男性社員育児休業取得率33.6%
   
指標(KPI)
  • DIC単体における女性管理職比率
  • DIC単体における男性社員育児休業取得率
5 保安防災と労働安全衛生及び化学品・製品安全の推進
  • レスポンシブル・ケアの推進

レスポンシブル・ケアの推進
目標
  • レスポンシブル・ケア活動※2を通じて人の安全・健康、環境の保護がより一層確保される社会の実現
  • DICグループにおける無事故無災害の達成
  • 2024年度、CIGNASシステムのグローバル(日本地区・中国地区・アジアパシフィック地区)運用開始

※2化学物質を製造し、または取り扱う事業者が、自己決定・自己責任の原則に基づき、化学物質の開発から製造、流通、使用、最終消費を経て廃棄に至る全ライフサイクルにわたって、環境・安全・健康を確保することを経営方針において公約し、環境・安全・健康面の対策を実施し、改善を図っていく自主管理活動をいう。

  • レスポンシブル・ケア活動の推進状況について、コンビナート地区の工場(千葉、鹿島、堺、四日市)に関しては2年に1度レスポンシブル・ケア地域対話集会を開催。また住宅地付近に位置する工場では、毎年環境説明会を開催。2023年度は埼玉工場で実施。
  • 総労働災害度数率

    • 国内グループ:2.09
    • DICグローバル:3.00
  • CIGNASシステムの運用状況について、中国地域、アジアパシフィック地域各社でCIGNASシステムが稼働。
   
指標(KPI)
  • レスポンシブル・ケア活動の推進状況
  • DICグループにおける総労働災害度数率
  • CIGNASシステムの運用状況

プレスリリース

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