ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(野村不動産ホールディングス株式会社)
2023年3月
2025年1月評価更新
ポジティブ・インパクト評価(要約)
野村不動産ホールディングス(以下「野村不動産HD」)は、1957年に野村證券より独立し不動産事業を開始した総合不動産デベロッパーである野村不動産グループの持ち株会社。国内の大手総合不動産デベロッパーの一角を占める存在であり、分譲マンション「プラウド」や中規模ハイグレードオフィス「PMO」等で知られており、住宅部門、都市開発部門、海外部門、資産運用部門、仲介CRE部門、運営管理部門の6つの主要セグメントで構成されている。野村不動産HDは、2022年4月に野村不動産グループ2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」を策定した。また、気候変動や価値観の多様化など、社会の変化を新たな成長機会と捉え、2050年のありたい姿として“サステナビリティポリシー「Earth Pride-地球を、つなぐ」”を策定し、意欲的な成長への挑戦と、まだ見ぬ価値創造の提供を通じて、グループ企業理念「あしたを、つなぐ」の実現を目指すとしている(図表①)。
野村不動産HDでは、「サステナビリティと経営は一体であり、事業戦略とサステナビリティの方向性を一致させるべき」との考えから、2021年4月より代表取締役社長グループCEOがサステナビリティ委員会の委員長を務めることとし、取組み体制の強化を図っている(図表②)。サステナビリティ委員会では、サステナビリティポリシー「Earth Pride -地球を、つなぐ」の3つのテーマである「人間らしさ」「自然との共生」「共に創る未来」の実現のため、2030年までに取組むべき5つのマテリアリティとして、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人権」「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーデザイン」を特定した(図表③)。
本PI評価では、野村不動産HDのサステナビリティ方針・推進体制・マテリアリティ等を確認のうえ、サプライチェーンも含めた事業活動全体に対する包括的分析を行った。野村不動産HDのサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「気候変動と自然環境への対応」、「組織や業態を超えた「共創」のためのサステナビリティ推進基盤強化」、「人びとのさまざまな生活、一人ひとりの過ごす時間を軸とした新たな価値創造」の3項目のインパクトを選定した。これら3項目のインパクトにそれぞれ設定したKPI(図表④)に基づき、今後モニタリングを実施する予定である。
図表①:2030年ビジョンとサステナビリティポリシー

図表②:サステナビリティマネジメント体制

(2025年1月更新)
図表③:2030年までの重点課題(マテリアリティ)

図表④:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 主な内容 | 主なKPI(指標と目標) | SDGs |
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気候変動と自然環境への対応 | 環境に配慮した街づくりを通じて、持続可能な社会、自然環境の保全、循環型社会の実現へ貢献する。 |
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組織や業態を超えた「共創」のためのサステナビリティ推進基盤強化 | 多様な人々のバックグラウンドや価値観を尊重したライフスタイルの実現 |
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人びとのさまざまな生活、一人ひとりの過ごす時間を軸とした新たな価値創造 | Quality Of Life(QOL)の向上とWell-beingの実現 |
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | |||
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当初 | 2025年1月更新 ※2024年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 気候変動と自然環境への対応 |
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(a)「省エネルギー」「事業の低炭素化」「再生可能エネルギー転換」の取組み推進 |
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(b)国内の森林循環を回復し、多様な生物が生息できる都市緑化や森林整備を通じた自然環境の保全を促進 |
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変更なし
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変更なし
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(c)建物長寿命化、再資源化、シェアリングなどを取り入れた街づくりやサービスの提供を通じた循環型社会への貢献 |
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変更なし
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変更なし
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2 | 組織や業態を超えた「共創」のためのサステナビリティ推進基盤強化 |
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(a)女性や外国人をはじめとする様々なバックグラウンド・価値観を持つ多様な人材が最大限に能力発揮できる組織作り |
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変更なし
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変更なし
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(b)あらゆる社員、事業にかかわるすべての人々の尊厳と基本的人権が尊重しあえる企業としての基盤固め |
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変更なし
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51% |
56% |
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変更なし
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3 | 人びとのさまざまな生活、一人ひとりの過ごす時間を軸とした新たな価値創造 |
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(a)「マーケットイン発想」による多様なニーズの収集に基づく、DX活用等による住まう・働く・憩う人々のQOLの向上 |
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変更なし
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変更なし
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(b)地域を活性化させ、人が安心・安全かつ快適な暮らし(Well-being)を実現できる持続可能な街づくり |
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変更なし
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変更なし
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