ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(株式会社丸井グループ)
2023年3月
2023年9月評価更新
ポジティブ・インパクト評価(要約)
丸井グループは1931年の創業以来、小売・クレジット一体のビジネスを展開しており、「小売」と「フィンテック」の2つのセグメントを一体運営する企業グループである。持株会社である丸井グループと子会社18社及び関連会社7社から構成されている。
丸井グループでは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」との経営理念に基づき、「すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る」ことをミッションに掲げ(図表①)、その実現のための道筋として「丸井グループビジョン2050」を2019年2月に宣言している。2050年に向けて「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り超える世界を創る」ために、共創を基盤とした3つのビジネス「世代間をつなぐビジネス」「共創ビジネス」「ファイナンシャル・インクルージョン」を設定している。
2021年5月には、企業価値向上のために2026年3月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、「事業戦略×資本政策×インパクト」を骨子に掲げ、方向性を示すサステナビリティとWell-beingに関わる目標として「インパクト」を設定し、「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの「しあわせ」を共に創る」「共創のエコシステムをつくる」という3つのテーマと9つの重点項目を設定している。(図表③)
また、上記2つに先立つ2016年11月には、「インクルージョン(包摂)」視点で4つの重点テーマ「お客さまのダイバーシティ&インクルージョン」「ワーキング・インクルージョン」「エコロジカル・インクルージョン」「共創経営のガバナンス」を定めている。
各方針は、2025年、2030年及び2050年の目標が設定されており、サステナビリティに関する討議体(サステナビリティ委員会、ESG委員会)にて検討が行われたのち、取締役会や経営会議において決定している。(図表②)
本PI評価では、丸井グループの事業活動全体に対する包括的分析を行い、丸井グループのサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ、「①地球と共存する持続可能な未来」、「②信用の共創に基づく金融サービス提供」、「③人の成長=企業の成長」の3項目のインパクトを選定し、各インパクトに対してKPIを設定した。(図表④)
図表①:丸井グループのめざす姿

図表②:サステナビリティのマネジメント体制

図表③:丸井グループがめざすインパクト(インパクト2.0)
インパクト2.0(2023年9月評価更新時点)

インパクト2.0(2024年更新)

図表④:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 主な内容 | 主なKPI(指標と目標) | SDGs |
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地球と共存する持続可能な未来 | 脱炭素社会や循環型社会を実現し、地球と共存する持続可能な未来を将来世代につなげる。 |
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信用の共創に基づく金融サービス提供 | 収入や年代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャル・インクルージョンの実現をめざす。 |
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人の成長=企業の成長 | 企業理念「人の成長=企業の成長」に基づき、社員一人ひとりがイキイキと成長し続けられる企業文化の醸成をめざす。 |
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | |||
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当初 | 2023年9月更新 ※2022年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 地球と共存する持続可能な未来 |
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(a)CO2排出量の削減への貢献 |
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変更なし
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34万t |
37万t |
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(b)グループ全体の温室効果ガス排出量(Scope1、2)の削減 |
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3.6万t |
3.1万t |
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変更なし
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(c)温室効果ガス排出量(Scope3)の削減 |
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25.6万t |
25万t |
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変更なし
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(d)再生可能エネルギー比率の向上 |
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変更なし
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68.0% |
71.0% |
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(e)資源リサイクル率の向上 |
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変更なし
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71.6% |
72.0% |
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2 | 信用の共創に基づく金融サービス提供 |
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(a)投資を通じたファイナンシャル・インクルージョンの展開 |
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2カ国 |
2カ国 |
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(b)世界の人々への金融サービス提供拡大 |
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445万人 |
476万人 |
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3 | 人の成長=企業の成長 |
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(a)人的資本投資額の拡大 |
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変更なし |
91.28億円 |
92.75億円 |
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(b)女性リーダー比率の向上 |
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変更なし |
34% |
36% |
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(c)男性の育休取得率100%の維持 |
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変更なし |
100% |
100% |
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(d)男性の産休取得率(8週以内)の向上 |
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変更なし |
78% |
97% |
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