ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(株式会社SUBARU)
2024年2月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
SUBARUは『“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す』を経営理念とし、経営資源の選択と集中を行い、付加価値をつけ、徹底した差別化を図るビジネスモデルを展開している。2018年に策定した中期経営ビジョン「STEP」では、「安心と愉しさ」を不変の提供価値として、機能価値だけではなく情緒価値を含めたSUBARUらしさを追求し、「笑顔をつくる会社」をありたい姿として掲げている。具体的には、社員一人ひとりへの品質意識を徹底する活動や、品質に関わる組織体制の強化などによる品質改革の推進と、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みや、提供価値である「安心と愉しさ」の具現化に向けたモノづくり革新を進めている。
SUBARUは、社会環境やステークホルダーとの関わり方の変化を踏まえ、グループ・グローバルの従業員が意思を共有できるものとして、2020年4月に「SUBARUグローバルサステナビリティ方針」(図表①)を制定している。また、あらゆるCSRの取り組みを議論するための会議体としてサステナビリティ委員会(図表②)を設置しており、代表取締役社長を委員長とし、全役員が構成委員となっている。サステナビリティ委員会での議論は、定期的に取締役会に報告を行われており、サステナビリティに関する堅固なガバナンス体制が構築され、取締役会の監督のもと適切に執行されていると判断される。
また、2030年に向けた持続可能な未来を実現するための開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)への対応については、SUBARUグループとして重要性を認識し、CSR重点6領域について「2025年のありたい姿」(図表③)を明確にすることで各領域の取り組みを一層強化し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に積極的に貢献していく方針である。
本評価では、SUBARUの事業活動全体に対する包括的分析を行った。同社のサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「脱炭素社会実現への貢献」、「循環型社会の構築」、「安全なクルマづくり」、「働きやすい職場環境の整備」、「サプライチェーンマネジメント」の5項目のインパクトを特定した。これら5項目のインパクトはいずれも同社のマテリアリティに係るものであり、それぞれ設定したKPI(図表④)に基づき、今後モニタリングを実施する予定である。
図表①:SUBARUグローバルサステナビリティ方針

図表②:サステナビリティ推進体制

図表③:CSR重点6領域「2025年のありたい姿」と貢献するSDGs

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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脱炭素社会実現への貢献 |
CO2排出量の削減
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循環型社会の構築 |
循環型社会構築への貢献、廃棄物の削減
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安全なクルマづくり |
自動車事故削減
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働きやすい職場環境の整備 |
多様性の尊重
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サプライチェーンマネジメント |
サプライチェーン全体のサステナビリティ強化
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度実績 | ||
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1 | 脱炭素社会実現への貢献 |
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(a)環境負荷を低減する事業活動の推進 |
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471,854-CO2(2016年度比20.9%削減) |
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(b)環境負荷を低減するクルマの普及拡大 |
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2 | 循環型社会の構築 |
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商品のライフサイクルにおける効率的な資源循環と廃棄物発生量の抑制と適正処分 |
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3 | 循環型社会の構築 |
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アイサイトの自動化技術を活用しつつ、先進運転支援システム(ADAS)連携・先進事故自動通報システム(AACN)採用を推進し、死亡交通事故を削減する |
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「アイサイト」コアテクノロジーの掲載車種拡大を推進。また、広角単眼カメラの新採用による運転支援システムの衝突回避性能を向上。 |
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4 | 働きやすい職場環境の整備 |
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(a)女性活躍推進 |
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(b)従業員エンゲージメント |
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― ※従業員エンゲージメントの調査方法の見直し及びエンゲージメントスコアの算出方法の変更を実施。新たな目標及び指標(KPI)並びに実績値につき別途更新予定。 |
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5 | サプライチェーンマネジメント |
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取引先サプライチェーン デュー・ディリジェンス※の実施 ※方針策定・説明・遵守調査・是正・公開のPDCA取組み |
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取引先CSR_デュー・ディリジェンスが適切に実施されていることを三井住友信託銀行にて確認 |
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