自分や家族が病気になったとき、安心して治療にのぞむためにも医師とのよりよいコミュニケーションを築くことが大切です。インフォームド・コンセントの普及を目指して、1998年に厚生省「患者から医師への質問内容・方法に関する研究」研究班から「医者にかかる10箇条」が発表されました。この研究班の一員が1990年から活動しているNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLで、素案づくりから手がけ、4万冊の無料配布に携わってきました。無料配布終了後は、「新・医者にかかる10箇条」としてこれを改訂し、厚生省と研究班の承認を経て21万冊の発行を続けています。その10箇条のポイントについて解説します。

新・医者にかかる10箇条

  • 1.
    伝えたいことはメモして準備
  • 2.
    対話の始まりはあいさつから
  • 3.
    よりよい関係づくりはあなたにも責任が
  • 4.
    自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
  • 5.
    これからの見通しを聞きましょう
  • 6.
    その後の変化も伝える努力を
  • 7.
    大事なことはメモをとって確認
  • 8.
    納得できないときは何度でも質問を
  • 9.
    医療にも不確実なことや限界がある
  • 10.
    治療方法を決めるのはあなたです

出典:NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)「新・医者にかかる10箇条」より

まず、自分の症状についてしっかり伝える

初診のときは、医師も患者に関する情報をできるだけ多く把握して疾病の診断をし、治療の方針を立てたいと考えています。医師が望むことを的確に、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。病院へ行く前に、まず使いやすいメモを用意して自身の症状について医師に伝えたいことを、ポイントを絞って書きだしておきましょう。副作用やアレルギーなどがあれば、それも書いておいてしっかり伝えることが大切です。

治療が始まったあとも、症状がどう変化したか、楽になったか、つらくなったかも正直に率直に伝えます。また、不安に感じたり、疑問に思ったりしたことは率直に質問して、その答えもメモに書きこむようにします。

初診から積極的なコミュニケーションを

初めて訪れる病院で、初めて診察を受ける医師と出会う初診のとき。緊張するかもしれませんが、患者の側からあいさつをしましょう。あいさつから始めて積極的に話しかけるようにすれば、だんだんとコミュニケーションも深まっていきます。医者とのコミュニケーションは双方向です。説明に対して適切なタイミングで質問したり確認をしたりするなど、患者の側も努力して、医師とよりよい関係を築こうとすることが、よりよい治療に結びつくのです。

自身の思いをしっかり伝える

治療が始まったら、医師が考えた方針やスケジュールがうまく進むよう患者も努力しなければ効果が上がりません。また、日常生活への備えが必要になる場合もありますから今後の見通しについて確認しておきましょう。理解できなかったり、納得できないことがあったりしたら何度でも質問します。医師の説明が理解できないまま治療を受けるのは望ましくありません。また、治療方法が複数あり、薬の種類や治療方針は患者の側で選べるケースもあります。それぞれのメリット、デメリットをしっかり聞いて、自分が自分の「いのちの主人公・からだの責任者」という認識で治療を進めることも大切です。

ページ最上部へ戻る