鎌倉のシンボル鶴岡八幡宮の奥に広がる御谷(おやつ)の森は、古くから古都鎌倉を見守る里山として大切にされてきました。ところが、高度経済成長期の1960年代、御谷(おやつ)の森に宅地造成計画が持ち上がり、開発によってこの風光明媚な景観が壊される危機に晒されました。この事態を憂慮した作家の大佛次郎氏や地元の住民たちが立ち上がって財団法人鎌倉風致保存会を設立、全国からの募金によって2年後に開発予定地1.5ヘクタールの土地を買い取り、森を守りました。英国ナショナル・トラストを手本に活動したことから、同会は日本初のナショナル・トラスト団体といわれています。そして、この活動がきっかけとなり、日本のナショナル・トラスト活動が全国に広がっていったのです。

2015年1月、三井住友信託銀行は御谷(おやつ)の森を題材に、鎌倉市立七里ガ浜小学校の4、5年生を対象に出前授業を実施しました。

授業では、当社の社員が講師を務め、鎌倉には年間2,000 万人もの観光客が訪れること、鎌倉の歴史的建造物や歴史的景観が地域の人たちの手によって大切に守られてきたことなどを、映像や資料などを使って子供たちに伝えました。そして、御谷(おやつ)の森におけるトラスト活動は“自然保護”と同時に、歴史的な文化財を後世に伝える“景観保護”の役目を果たしたこと、この運動を契機に「古都保存法」が制定されたことで、京都・奈良など全国の古都の景観が守られていることを学びました。

授業の最後には「鎌倉の景観を守るために自分たちができること」について話し合う時間が設けられ、子供たちから「神社などの周りに家を建てない」、「チラシやポスターを作って呼びかける」、「高齢者の人たちだけで鎌倉を守るのではなく、若い人も活動に参加する」など、たくさんの意見が出ました。

授業の様子 映像や資料を使って授業が行われました

授業当日は鎌倉市の松尾崇市長もお越しになり、「私がとても特徴的だと思ったのは、森もそのままでは守れない、皆さんが関心を持つことがすごく大事だということです。そして変えるためには行動することが大切だと思います。鎌倉の先人の人たちの思いを知って、これからも鎌倉を守っていくために力を合わせて頑張っていきましょう。」と子供たちに向けた力強いメッセージを伝えていただきました。

授業の様子 授業には松尾崇市長も参加しました
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