数字が教えてくれる「人生100年時代」のライフデザイン
コロナで変わった「おうち時間」 ~今こそ自宅で資産形成~

三井住友トラスト・資産のミライ研究所(以下、ミライ研)は、「人生100年時代」における安心・安全な資産の形成/活用を、中立的な立場で調査・研究する目的で三井住友信託銀行内に設置された組織です。

ミライ研では20歳~64歳の1万人への独自アンケート調査を実施しています。アンケート結果を基に皆さまのお役に立つ情報とより豊かな生活に向けたヒントをご提案します。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所 所長
丸岡 知夫

「おうち時間」と「会社時間」

日本においては2020年初より新型コロナウイルスの感染拡大が始まりましたが、これまで、国民全体での感染拡大防止策への取り組みや、ワクチンの積極的な接種など、コロナ禍を乗り越えていくため行動が続けられています。

そんな中で、大きく変化した生活様式の1つとして、自分のためにつかう時間(本稿では「おうち時間」)の増加があげられます。

内閣府は、コロナ禍のもとでの生活意識・行動の変化に関する調査を定期的に実施していますが、直近の調査(2021年4~5月実施、回答者数10,128)で「新型コロナの感染拡大前(2019年12月)と比較して労働時間がどう変化したか」を尋ねています。結果は、「労働時間が減少した」との回答が33.4%、「増加した」が12.7%、「あまり変わらない」が53.9%となっており、約3分の1の方が、労働時間(いわゆる「会社時間」)が減ったという意識を持っていることがわかりました。

では、生活面でのゆとりとしての「おうち時間」についてはどうでしょうか。

ミライ研では、今回実施した1万人アンケート調査において、「コロナ禍の前と比べて、時間的なゆとりがどう変化したか」を「1日あたりの平均的な増減時間」という形で尋ねていますが(図表1)、「時間的なゆとりが増えた」という回答が2割強(22.1%)、7割の人は「変わらない」、一方で「ゆとりが減った」という人が1割弱(7.1%)という結果になりました。「3時間以上増えた」という回答も全体の1割弱(8.7%)ありました。

図表1 コロナ禍による時間的なゆとりの変化(1日あたり)

感染拡大防止の取り組みとして、多くの職場でテレワークの導入・活用が進み、プライベートでも外出自粛や会食機会の回避などで、ゆとりとしての「おうち時間」が増えたことは、新型コロナショックの特徴といえそうです。

「おうち時間」と資産形成

「日常の生活が慌ただしくて」「時間的なゆとりがあれば、家計のお金のことや資産計画についてじっくり考えることができるのに・・・」という思いを持たれている方も、相当数いらっしゃるのではないかと想像します。

では、今回のコロナ禍で生じた「時間的なゆとり」を資産形成への取り組みに活用されている方はいらっしゃるのでしょうか。

ミライ研の1万人アンケート調査では、「コロナ禍の前と比べて、時間的なゆとりが増えた」と回答した方に対して、「時間的なゆとりが増えたことで、資産形成について考える機会(時間)は、どの程度変わりましたか」と追加で尋ねたところ、約4割が「資産形成について考える機会(時間)が増加」という回答でした(図表2)。

これは、「コロナ禍でおうち時間が増えた」層(全体の2割)×「増えた時間で資産形成について考えた」層(増えたうちの4割)=全体の1割弱の方が資産形成へ取り組む時間が持てたことを表しています。

図表2 増えたゆとり時間で資産形成について考える機会(時間)が変化したか

次は「資産形成へアクション」

コロナ禍にあっても「ゆとり時間を活用して、資産形成について考えてみた」層の存在が確認できました。しかし、実際に資産形成へのアクションについてはどうだったのでしょうか。

今回のアンケート調査結果では、資産形成額(年額)についても調査していますが、1年間の資産形成額(平均)は約112万円で、コロナ禍前と比べて年間資産形成額が増えた人は12.4%、減った人は25.1%、変わらない人は62.6%という結果でした。今後、時間的なゆとりの増加や資産形成意識の高まりが「資産形成の加速」に結びついていくものと思われます。

個人にとって身近な資産形成の器であるNISA(少額投資非課税制度)の口座開設数は、2020年以降増加が加速しており、2021年3月末で1,586万口座(2020年3月末1,405万口座から180万口座増加)に達しました。とりわけ、資産形成世代にあたる20歳代~50歳代のつみたてNISAの口座開設の伸びが顕著になっています。投資信託の最低購入額は、足下では銀行窓口が1万円、インターネットバンキングや総合証券が1,000円、ネット証券が100円と、小口化が進展していることも背景になっていると考えられます。

こうした資産形成へのアクションを促す「下地」に、新型コロナショックによる社会的な変化(時間的なゆとりの出現やオンライン化の進展)が重なってきている今、資産形成世代のマインドが「いつか始めたい」「始めなければ」から「今、始められる」に変わってきている兆しが感じられます。

「コロナ禍で増加した時間的なゆとり、資産形成への影響は?」

2021年7月30日に、ミライレポート「コロナ禍で増加した時間的なゆとり、資産形成への影響は?」をリリースしました。コロナ禍における「時間的な変化」「家計行動の変化」「資産形成額の変化」を分析しています。資産形成において、コロナ禍から受けた影響が特に大きかったのは、どの世代だったのでしょうか?

続きはミライ研Webサイトをご覧ください。新規ウィンドウで開く(外部のウェブサイトに遷移します)

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