ESGトータルソリューションのご提供
SDGsへの取り組みが世界的に加速する中、サステナブル経営の推進をはじめ、お客さまが抱える課題は複雑かつ高度化しており、また課題に対するスピーディーな対応が求められています。
当社は銀行・信託業務を通じた結びつきのある多様なステークホルダーとの接点や幅広いソリューション提供力を強みとして、お客さまとステークホルダーをつなぎ、企業価値向上につながるトータルソリューションをご提供しています。
特に「ESG」のテーマはお客さまの関心が高いことから、2020年4月に当社内に事業横断的なESGソリューションの展開を目的とした専担組織を設置し、蓄積してきたサステナビリティのノウハウやネットワークを生かし、お客さまの取り組みをサポートします。

気候変動対応支援に向けた合弁会社を設立しました
世界規模で異常気象による災害が多発する中、脱炭素社会の構築に向け、多くの企業が適応・緩和の両面で早急な行動を求められています。当社は、2024年2月に、世界最大のサステナビリティ専門コンサルティング企業であるERMグループの日本法人と共同出資により、企業の気候変動対応を支援する新会社を設立しました。本提携を通じて、ERMグループのグローバルな専門知識と、当社の金融インフラ機能を組み合わせ、法人のお客さまが抱える気候変動・脱炭素分野における課題に対して、実践的かつ国際競争力を意識したコンサルティング及びソリューションを提供し、お客さまの企業価値向上とともに、日本の脱炭素化の促進を目指してまいります。詳細はこちらの同社ホームページをご覧ください。
インパクトビジネス
インパクトとは、企業の製品・サービスあるいは活動が短期・中期・長期にわたって経済・社会・環境に及ぼす影響であると当社では定義しています。
当社は、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)のポジティブ・インパクト金融原則や国際金融公社(IFC)のインパクト投資運用原則等のグローバルな原則に準拠して、エクイティやデット等のさまざまなアセットクラスにおいてインパクト・ファイナンスを提供しています。
ファイナンス×サステナビリティ
当社は、2021年度から2030年度までの10年間で累計15兆円(うちインパクトエクイティ2.5兆円)を取り組むサステナブルファイナンス長期目標を設定しています。環境分野や社会分野に対する積極的な資金供給を通じ、気候変動をはじめとする環境・社会課題を解決し、お客さまとともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。
サステナブルファイナンス
当社で取り扱い可能なサステナブルファイナンスは以下の通りです。
当社のサステナブルファイナンスは、国際原則等に準拠し、外部評価機関から適合性評価の第三者意見取得を原則とすることで、信頼性・透明性の確保に努めています。
商品名 | 準拠原則等 | 資金使途限定 | 主な特徴 | ||
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UNEP FI(国連環境計画金融イニシアチブ):「ポジティブ・インパクト金融原則」 「ポジティブ・インパクト金融原則フレームワーク」 |
無し | 企業活動から発現する重要な全ての「インパクト」を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資 | |||
LMA(ローン市場協会):「サステナビリティ・リンク・ローン原則」 ICMA(国際資本市場協会):「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」 |
無し | 企業活動の重要なサステナビリティ戦略と関連の深い特定の「サステナビリティ目標」を設定し、達成度合いに応じて経済条件を変動させる融資 | |||
ICMA(国際資本市場協会):「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」 | ①無し | 脱炭素化に向けた移行の取組支援を目的とした融資 | |||
②有り | |||||
資金使途限定型サステナブルファイナンス | |||||
資金使途限定型サステナブルファイナンス | 4.グリーン・ローン | ICMA(国際資本市場協会):「グリーンボンド原則(GBP)」 LMA(ローン市場協会):「グリーン・ローン原則(GLP)」 |
有り | 環境改善効果を生み出す特定のグリーンプロジェクトの取組支援を目的とした融資 | |
4.グリーン・ローン | ブルー・ローン | ICMA(国際資本市場協会):「GBP」「GLP」 欧州委員会:「持続可能な海洋経済に対する金融原則」 |
有り | 環境改善効果(海洋経済または水インフラ等)を生み出す特定のブループロジェクトの取組支援を目的とした融資 | |
5.ソーシャル・ローン | ICMA(国際資本市場協会):「ソーシャルボンド原則(SBP)」 LMA(ローン市場協会)等:「ソーシャル・ローン原則(SLP)」 |
有り | 社会的効果を生み出す特定のソーシャルプロジェクトの取組支援を目的とした融資 | ||
6.サステナビリティ・ローン | ICMA(国際資本市場協会):「サステナビリティボンド・ガイドライン」 | 有り | 環境改善効果・社会的効果を生み出す特定のプロジェクト(グリーン及びソーシャル)の取組支援を目的とした融資 |
その他
不動産×ESG
環境不動産に関しては2005年、環境不動産のもたらす付加価値に関する論文の発表を皮切りに、「環境性能」とそれに伴う「付加価値」を分かりやすく示すことを中心に、多くの提言を行ってきました。2010年には先駆的な取り組みとして、環境不動産の専担組織を設置しました。不動産事業の高度なビジネス基盤に加え、環境不動産のパイオニアとしての取り組みを通じて、環境不動産の普及に向けたビジネスを展開しています。
環境不動産に関する当社取組はこちら
コンサルティング×ESG
当社は、資産運用業務での長年携わってきた「投資家の視点」と発行体企業として実践してきた「サステナブル経営実務者の視点」を生かし、お客さまのサステナブル経営の実現に向けて、その要諦である「情報開示」「エンゲージメント」「経営への統合」のループの創出などトータルでのコンサルティングを提供しています。また、証券代行業務において、業界No.1の顧客基盤および国内最大規模のガバナンスサーベイ・役員報酬サーベイを活用し、各企業のコーポレートガバナンスに関する自律的な取り組み、および環境変化や投資家の声の理解促進等の企業価値向上に資する取り組みを支援しています。
サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)
サステナビリティ・リンク・ローンは、借り手の経営戦略に規定されているサステナビリティ目標と整合した「キー・パフォーマンス・インディケーター(以下「KPI」)」と「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」)」を設定し、貸付条件とSPTに対する借り手のパフォーマンスを連動させ、SPT達成への動機付けを与えることで、借り手の環境的・社会的に持続可能な経済活動及び経済成長を促進し、支援することを目指すものです。
お客さまと十分に協議したうえで、特定のテーマ(GHG削減量、エネルギー効率、リサイクル率、人的資本経営推進等)に関するKPIを選定し、野心的なSPTを設定します。
(例)GHG排出量削減をSPTと設定する場合

トランジション・ローン
トランジション・ローンは、気候変動リスクへの対策を検討している企業が、脱炭素社会への移行に向けて、長期的な戦略に則ったGHG削減の取組を行っている場合に、その取組を支援することを目的とした融資です。企業が気候変動関連のリスクに効果的に対処するために掲げている科学的根拠に基づくクライメート・トランジション戦略とガバナンス及びビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティを評価し、パリ協定の目標達成への活動を促進するものです。
トランジション・ローンには、資金使途限定の「グリーン・ローン型」、資金使途が限定されない「サステナビリティ・リンク・ローン型」があります。
国内のクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本方針はこちらをご参照ください。(経済産業省のページへ移動します。)
当社におけるトランジションローンの実施事例
川崎汽船株式会社(以下、「川崎汽船」)は、「“K”LINE環境ビジョン2050」の中で、脱炭素化に向け2030年中期マイルストーンでは、「CO2排出効率2008年比50%改善」「社会の低炭素化に向けた新しいエネルギー輸送・供給の推進」をクライメート・トランジション戦略に掲げております。
当社は川崎汽船の当該マイルストーンの達成に向けて、次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船の取得を資金使途とした トランジションローンを2021年3月に実施いたしました。これは、当時においては先駆的な取り組みです。

当社におけるトランジション・リンク・ローンの実施事例
株式会社商船三井(以下「商船三井」)は、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」(図表①)の中で、「2050年ネットゼロ・エミッション」(図表②)達成に向けたGHG排出量の削減シナリオを策定しており、2035年までに輸送におけるGHG排出原単位2019年比45%削減という中間目標を定めています。
当社は、商船三井グループの環境課題解決に貢献するため、シンジケーション方式トランジション・リンク・ローン(以下「本件」)(図表③)を2024年4月に実施いたしました。
商船三井は、産業競争力強化法(以下「産強法」)に基づく事業適応計画について国土交通大臣の認定(※1)を受けており、本件は産強法に基づく「カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための金融支援制度(成果連動型利子補給制度(以下「利子補給制度」)(※2))」が適用されています。
- (※1)産強法に基づく事業適応計画の認定
経済産業省のウェブサイトをご参照ください。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/nintei_cn.html - (※2)利子補給制度
経済産業省のウェブサイトをご参照ください。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/cnrishihokyu/index.html
図表①:商船三井グループ 環境ビジョン2.2

図表②:商船三井グループ ネットゼロ・エミッションへのPathway

図表③:本件で設定したKPI及びSPT
KPI |
エネルギー効率運行指標(EEOI:Energy Efficiency Operational Indicator)(※)
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SPT |
2019年を基準年とした『2035年にエネルギー効率運行指標(EEOI)を45%削減達成』に向けたEEOI目標削減率
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(※)船舶運航時における単位貨物重量・輸送距離当たりのCO2e(GHG)排出量を示す指標です。
(出所)商船三井ホームページを基に当社作成
資金使途限定型サステナブルファイナンス
(グリーン/ブルー/ソーシャル/サステナビリティ・ローン)
(1)グリーン・ローン
グリーン・ローンは、環境課題の解決に資する事業(適格プロジェクト)に必要な資金を調達する際に用いられる融資です。調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されるほか、資金の追跡管理や融資実行後のレポーティングを通じ、透明性が確保される等の特徴を有しています。
(2)ブルー・ローン
ブルー・ローンは、持続可能な海洋の利用による経済活動(ブルーエコノミー)を行うために、海洋環境の保全に充てる資金を調達する際に用いられる融資です。グリーン・ローンのサブカテゴリ―として位置づけられています。
(3)ソーシャル・ローン
ソーシャル・ローンは、社会的課題の解決に資する事業(適格プロジェクト)に必要な資金を調達する際に用いられる融資です。調達資金の使途がソーシャルプロジェクトに限定されるほか、資金の追跡管理や融資実行後のレポーティングを通じ、透明性が確保される等の特徴を有しています。
(4)サステナビリティ・ローン
サステナビリティ・ローンは、グリーン・ローンとソーシャル・ローンの一体型です。調達資金の使途が「グリーンプロジェクトとソーシャルプロジェクト」に限定される他、資金の追跡管理や融資実行後のレポーティングを通じ、透明性が確保される等の特徴を有しています。

- ※1フレームワークでは、次の4要素を満たす必要があります。①調達資金の使途 ②プロジェクトの評価と選定プロセス ③調達資金の管理 ④レポーティング
- ※2レポーティングとは、資金の充当状況や投資プロジェクトが与える環境・社会に与えるインパクトに関する報告です。
再生可能エネルギーファイナンス
国内では2050年のカーボンニュートラル実現に向け、これまでの太陽光発電・陸上風力発電に加え、一般海域における洋上風力発電の入札が始まるなど 洋上風力発電の導入・拡大に注目が集まっています。当社は、プロジェクトファイナンスを通じて再生可能エネルギーの導入を促進するとともに、再生可能エネルギーの大規模発電事業に特化して出資する再生可能エネルギーファンドを設立・運営しています。
グリーン預金
グリーン預金とは、太陽光・風力発電をはじめとする再生可能エネルギー、環境不動産など、環境改善に資する事業に資金使途を原則限定して調達する外貨定期預金です。本グリーン預金による資金調達、およびその調達した資金による融資を通じて、持続可能な環境・社会の構築に貢献することが、ステークホルダーへの一層の価値提供に資すると考えています。
当社のグリーン預金は、第三者認証機関の協力を得ながら策定したグリーンプロダクトフレームワークに基づき調達をしています。
グリーンプロダクトフレームワークはこちら
サステナビリティ・リンク・デリバティブ
SLLと同様の原則に準じてSPTsを設定し、達成状況に応じて、デリバティブから発生するキャッシュフローの支払先を、SDGsに関するあらかじめ定めたNPO等の慈善団体に変えるデリバティブ商品の取り組みも行っています。格付会社などの第三者機関が企業のCSR戦略全般に照らし、設定されたSPTsの妥当性を評価します。


サステナブル経営支援コンサルティング
当社では、サステナブル経営とは「社会のサステナビリティ(持続可能な社会づくり)と自社のサステナビリティ(持続的な成長)を両立させる価値創造プロセスを確立し、経営に組み込むこと」だと考えており、運用業務を通じ長年蓄積してきた機関投資家の視点と先進的なサステナブル経営の実践者の視点を併せ持つ強みを生かし、「サステナブル経営コンサルティング」を提供しています。具体的には、専門性を持つコンサルタントがお客さまごとにニーズに即したプロジェクトチームを組成し、アドバイスを行います。
