Gコース・電気機器業界出身

経営企画部 サステナビリティ推進部

青柳 拓也AOYAGI TAKUYA

2021年入社

これまでのキャリアCAREER PATH

2008年
大学院工学研究科を修了後、総合電機メーカーに就職。研究職として無機材料の研究開発などに従事する。
2020年
「技術を社会に実装するプロセスに携わりたい」という願いから、転職活動を開始。
2021年
三井住友信託銀行に入社。理系人材が集結する「TBFチーム」で、新技術・新事業の掘り起こし、社会実装のサポートに挑む。

理系人材が金融機関に転職する。そう聞いて、多くの方が驚かれるかもしれません。私は大学院で無機材料のプロセス研究に取り組み、院修了後は総合電機メーカーに就職。以後、研究職として開発テーマの探索から立ち上げ、出向先での製品開発など、幅広い業務に携わってきました。特に2020年は博士号を取得し、担当していた開発案件の製品化が固まるなど、これまでの取り組みが実になった1年でした。一方、私が携わってきた材料開発は製品化までに長い時間を要します。そのため、経験を積めば積むほど、「材料技術が社会に早く実装できるような取り組みをしたい」という思いが高まっていきました。加えて、会社の経営方針が変わり、自分の思いとは違った役割を求められることが想定できたこともあり、自然と転職を考えるようになりました。登録した転職エージェントから三井住友信託銀行を紹介された際は「理系出身の私が銀行に転職?」と疑問に感じたのですが、面接官と話して、その思いが覆されました。社内に研究者やエンジニア出身で構成されたチームがあり、技術的な目利きを活かして新しい技術の実証フェーズから社会実装、普及・拡大までを一気通貫で支援するプロジェクトを担っていると言うのです。銀行でその役割を担うというのは、非常にチャレンジングかつ意義のある取り組みであると感じ、ぜひ携わってみたいと思いました。

インタビュー01
インタビュー02

私が配属になったTBF(Technology based Finance)チームは、立ち上がったばかりの新しいチームです。エネルギー、材料、農林水産、メカトロニクスなど、さまざまな分野の専門家で構成されており、いずれもキャリア採用の理系人材です。冒頭でお話したとおり、新たな技術を技術的側面から理解・評価して社会実装するため、金融や、時には政策も絡めた仕組みを作り、そこへ資金提供することでサステナブル社会の実現に貢献することがTBFチームのミッションになります。
TBFチームは、技術的な目利きを活かしてまだ技術が社会に広まっていない段階――つまり技術の実証の段階から入り込み、社会へ実装されるまでの資金面を含めたお手伝いをします。活動の中では、その技術が社会や環境に対してどんなポジティブなインパクトを生み出すのか、という評価や支援をしながらインパクトの最大化を目指していきます。常時、複数のプロジェクトを走らせていますが、注力しているのは脱炭素や資源循環に関連したプロジェクトです。例えば、2021年9月に北海道地方環境事務所と締結した「ESG地域金融に関する連携協定」は、TBFチームのメンバーが中心となって進めている脱炭素に関連したプロジェクトです。北海道の地域課題やスタートアップ企業がもつ技術についてヒアリングをし、時には大学の研究者に知見を求めて、既存技術や新たな技術を活用して何ができるかを検討。そして、実装先である北海道につなげ、脱炭素化社会の実現に向けたポジティブなインパクトを生み出す活動をしています。

インタビュー03

メーカーから金融機関と業界をまたがる転職をしたため、入社当初は慣れない専門用語を覚えたりと苦労することもありました。しかし、金融業務を通じた学びによって事業をより深く理解し、自分の専門領域の幅も広げられるのは非常に刺激的です。さらに、TBFチームには各分野の専門家が集まっていますから、彼らと意見を交換するだけでも学びになります。それに、さまざまな業種の顧客を金融面からサポートしている当社にいることで、幅広い技術の情報も得られ、そこから複数技術の組み合わせによる付加価値の提供が可能な環境は金融機関ならではであり、三井住友信託銀行に転職してよかったと感じている点の一つです。
私の専門である材料分野に関しては、日本は世界的に見てもトップレベルの技術を有しています。しかし、日本企業における研究開発投資の効率性は必ずしも高くはありません。つまり、開発技術が実用化を経て企業利益の向上にうまく繋がっていないということだと考えています。だからこそ、当社が新たな技術を社会につないでいくお手伝いをする意義があると思うのです。今、私は触媒を用いて、水素からアンモニアに変換する技術の社会実装に向けた支援を進めています。低コストでグリーンなアンモニアを生成できることから、普及すれば、国連が掲げたSDGsの目標達成にも貢献することができるでしょう。このほか、TBFチームでは脱炭素社会の実現に向けて、さまざまな技術の活用を検討しています。自分たちが携わっているプロジェクトが、社会をよりよく変えていくかもしれない。そう考えるだけで、心がワクワクします。この記事を読んだ理系出身の皆さんが、近い将来、当社の新たな仲間になっていただけたらうれしいです。

転職して活かせているスキル

私は材料分野をテーマにした技術のソーシングや実用化支援を担当しているので、日々の業務が前職と直結しています。恩師や前職で知り合った仲間を頼ることもあるので、知識やスキルだけでなく、人脈も活用できています。また、TBFチームのメンバーはそれぞれ専門の分野を持っているため、社内の関連部門から技術的な見解を求められることがよくあります。ニッチな質問も多く、例えば「リサイクルに関する国内外の動向」や「接着剤の用途」など、さまざまな質問を受けます。これは、当社があらゆる業種のお客さまと取引をしているためで、お客さまの事業を深く理解するために問い合わせが入るのです。こうした質問に技術的観点から答えられるのも、前職の知識を活かせているからだと感じています。