13. 大鳥居の足元に息づく多様な生き物の営み-宮島

宮島は、周囲30kmの島で、島の全域が瀬戸内海国立公園に指定され特別保護区となっています。観光の面では、日本三景の一つとして知られる景勝地で、日本屈指の観光地として栄えてきました。現在も国内外から年間300万人を越える参拝客、観光客が訪れます。
フェリーに乗って宮島に渡るとき、朱塗りの大鳥居に目を奪われます。大鳥居や厳島神社を取り囲む景色のなかには、自然観察の素材がたくさん潜んでいます。
厳島神社から大鳥居周辺、宮島水族館、網の浦へと続く干潟は、非常に優れた海岸生物の観察フィールドです。
瀬戸内海の本来の自然が残る
瀬戸内海の海岸線が埋め立てられていくなかで、厳島神社地先の干潟は、史跡と一体となって保護されてきたので、瀬戸内海の海岸の本来の姿を留めており、海岸生物がたくさんすんでいます。しかも、観光地としての水際へのアクセスが整備されており、大鳥居の周辺で、ハクセンシオマネキやスナガニ、アカテガニ、オサガニなどカニの種類だけでも15種以上が生息するなど、さまざまな種類の生物が観察できます。
また、絶滅危惧種に指定されている「ミヤジマトンボ」の生息地として2012年にラムサール条約の登録湿地に指定されたことも記憶に新しい出来事です。
陸域の環境においては、厳島神社や大聖院の背後から弥山へと続く森林が瀬戸内海の原始の姿を留めており、世界遺産に登録されています。ここは、植物や動物の格好の観察フィールドです。
島全体が「鎮守の森」であり、暖地の植物と寒冷地の植物が同じ場所に生育し、神の使いとして保護されてきたシカが植物に大きな影響を及ぼしている状況は、他所では見られない興味深い自然のありようを教えてくれます。
シカの食害を防ぐため矮小化したチドメグサ

ハクセンシオマネキ

現地への交通
電車・船(宮島まで)
- 宮島口桟橋から宮島桟橋までフェリーで約10分
- 広島港(宇品港)から宮島桟橋まで高速船で約22分
- 平和公園元安橋桟橋から宮島桟橋まで高速船で約50分
- ショッピングモールマリーナホップより宮島桟橋まで高速船で25分

宮島未来ミーティング(文・写真)
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