1. 地域農業が支える雄大な自然-宮島沼
宮島沼のマガン

マガンのエネルギー補給の場に
宮島沼は石狩川中流域に位置する水面積25haほどの小さな湖です。毎年春と秋にはガン、カモ、ハクチョウなど多くの水鳥が渡りの途中に立ち寄ることから、2002年に国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました。渡りシーズンには最大8万羽を超えるマガンが乱舞し、数千羽のコハクチョウが湖面を埋めることから、季節の風物詩として多くの来訪者を集めています。
宮島沼周辺は北海道でも有数の米どころとなっており、マガンやコハクチョウは田んぼの落ちもみを食べて、渡りのエネルギーを蓄えます。マガンの渡りは片道4,000kmにもなりますが、宮島沼からカムチャツカ半島までノンストップで移動するため、宮島沼周辺の田んぼで十分にエネルギーを補給することが非常に重要になってきます。「ごはんを食べてマガンを守る」とは、地域農業によって支えられている宮島沼の自然を、多くのみなさまに食べ支えていただくためのキャッチフレーズとなっています。
マガンの大群

石狩湿原の残存湿地
かつて宮島沼周辺には、石狩湿原という国内最大の泥炭湿地が広がっていました。しかし、明治の開拓以降、石狩湿原は農地や宅地に置き換わり、今ではその99.9%が失われてしまいました。宮島沼は石狩湿原の貴重な残存湿地となっており、かつての自然の原風景を今に伝える数少ない場所です。今、石狩川流域に点在するかつての湿原の名残は、宮島沼を含め、乾燥化や富栄養化によって急速に環境が悪化しています。かつて不毛の地として開発の対象となった石狩湿原ですが、その残存湿地を貴重な自然遺産として将来に引き継いでいこうと、関係者がネットワークを作って保全と活用の試みを進めています。
宮島沼

現地への交通(2017年9月現在)
- JR美唄駅からバス
- 新千歳空港から車で約1時間50分
- JR札幌駅から車で約1時間20分

宮島沼水鳥・湿地センター(文・写真)
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