12. 都会の中心にある野鳥の楽園-大阪城公園

大阪城公園は、大都会大阪の中央に位置する総面積106.7haの広大な公園です。数多くの重要文化財を包むように緑あふれる森が広がっており、散歩やジョギング、スポーツやイベントの会場にもなり、多くの人で賑わっています。大阪市内にはまとまった広さの緑地が少ないため、落葉樹や常緑樹、大木や灌木が入り交じり、水辺もある大阪城公園は、生物相がたいへん豊かで、渡りの鳥たちにとっては絶好の中継地となっています。都会の真ん中で繁殖している留鳥もいるので、いつ訪れても野鳥の観察を楽しむことができます。
四季を通じた野鳥の観察
大阪城野外音楽堂の西側の小径 春(4月中旬~5月上旬)と秋(9月上旬~)
春の楽しみは、鈴の音のようにさえずるキビタキ、日本三鳴鳥の一つオオルリ。ときには「月・日・星(ツキヒホシ)」と鳴く尾羽がとても長いサンコウチョウ、馬のいななきのような声で鳴くコマドリ、キョロンキョロンと鳴くアカハラやクロツグミが訪れることもあります。
桜広場から梅林の崖 春(4月中旬~5月上旬)と秋(9月上旬~)の渡りの時期
キビタキやオオルリのほか、子育てを仮親に任せ、サクラやウメの大きなケムシ・イモムシが大好物なカッコウやツツドリ、大きな目が印象的なコサメビタキやエゾビタキ。木のこぶのようにしか見えないヨタカ、緑とエンジ色のアオバトに出会えることも。
北外濠 10月下旬~3月下旬
お下げ髪がおしゃれなキンクロハジロをはじめ、茶・黒・白の三色のホシハジロ、群れで渦を描きながらプランクトンを漉しとって食べるハシビロガモ、シルエットがナポレオンの帽子に似ているヨシガモなど、カモのなかまが多数。上空をユリカモメが舞い、石垣には、大きな嘴のカワセミの姿も。鋭い目で獲物をさがすオオタカが現れることもあります。
市民の森/記念樹の森/飛騨の森 四季を通じて
シジュウカラやメジロ、エナガやコゲラ、大阪府の鳥モズなどは、この森で繁殖。冬はツグミ・シロハラ・トラツグミ、ジョウビタキやルリビタキ。アトリやマヒワの群れに出会うことも。春と秋は、渡りの小鳥たちの絶好の採餌場所となっています。



現地への交通
- JR大阪環状線/大阪城公園駅下車西へ徒歩すぐ
- JR大阪環状線・大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線/森ノ宮駅下車北西へ徒歩すぐ

日本野鳥の会大阪支部(文・写真)
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