円安で食料品値上げはすぐに来る?
今年に入り、為替の円安・米ドル高傾向が一段と強まりました。これは1月23日召集の通常国会の冒頭での衆議院解散を巡る報道を受けた動きでした。高市政権の支持率が高水準を維持する中、積極的な財政政策が進みやすくなることで財政が悪化するとの懸念から円が売られ、一時、2024年7月以来の159円台半ばまで円安が進みました。
円安は円建ての輸入価格を上昇させるため(図1)、価格転嫁を通じて、いずれは消費者物価にも影響が及ぶのではないか、といった懸念も持たれるのではないでしょうか。特に、日々の生活に直結する食料品価格などへの影響は、誰もが気になるところでしょう。
図1 輸入物価指数の動き(2020年1月~2025年12月、月次)
(出所)日銀の資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
輸入品価格のうち消費者物価に最も直接的に影響するのは、最終財(消費者に消費されるモノ)です。日銀の「最終需要・中間需要物価指数」の構成品目を見ると、衣料品や携帯電話機のほか、乗用車などがこれに含まれます。
一方、輸入品の多くを占める中間需要財(生産過程で投入されるモノ)の輸入価格は、製造工程を通じて徐々に波及していくため、消費者物価に至るまでには一定の期間を要します。食料品関連も、実は多くが中間需要財であり、直接的な消費者物価への影響は必ずしも大きくありません。品目別ではバラツキはありますが、輸入物価指数(日銀)の「飲食料品・食料用農水産物」と消費者物価指数(総務省)の「食料」(生鮮食品、米類を除く)の動きを見ると、輸入物価の12カ月先行指数と消費者物価がほぼ連動し(図2)、輸入物価の「飲食料品・食料用農水産物」の動きが消費者物価に波及するまでには、1年程度かかることがわかります。
図2 食料品の輸入物価と消費者物価(前年同月比)(2002年1月~2025年12月、月次)
※消費者物価は生鮮食品と米類を除く食料品(消費税調整済)
(出所)日銀、総務省の資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
これを踏まえると、足元の円安進行の食料品価格への影響は、直ちには実感しにくいかも知れません。ただし、緩やかではあっても、円安が根強く物価を押し上げる要因であることに変わりはありません。特に足元の円安は、財政悪化懸念の高まりが一因となっています。そのため、財政不安に関する懸念が燻り続けるもとでは、円安によって持続的に物価に上昇圧力がかかり続けるという可能性も考えられます。
インフレの進行は、現金の価値を目減りさせるため、資金を現金や預金などで保有しておくだけでは、購買力の低下にもつながりかねません。将来の物価上昇への備えとして、投資信託の活用などを通じた資産形成を進めることも、長期的に家計を安定させるためには重要ではないでしょうか。
作成:三井住友トラスト・アセットマネジメント