日本企業は設備投資に積極的

このところ、AI(人工知能)の話題に触れない日はありません。日常生活での活用や関連銘柄の株価上昇といった話題が多い印象ですが、AI関連需要の拡大に伴い、日本企業が工場や機械に投資する動きにも広がりが見られます。日銀のさくらレポート(「地域経済報告-さくらレポート-(2026年1月)」)によると、省力化を目的とするAI搭載機器の導入といったユーザー(需要側)としての投資だけでなく、旺盛なAI関連需要に対応するために、供給側として先端半導体向け製品の生産ラインを強化したり、工場を増設するといった能力増強投資も進んでいるようです。

強い資金需要に応える銀行貸出

企業が設備投資を積極的に行う動きを受けて、銀行貸出も早いペースで増加しています。2025年12月末時点の銀行の企業向け貸出残高は前年同期比+6.3%、このうち設備投資資金向けは+5.8%と、いずれも過去30年でかなり高い伸びを示しています(図1)。また銀行の貸出スタンスにも変化が見られます。コロナ禍(主に2020年~2021年前半頃)のような例外的な期間を除き、長年にわたり慎重化傾向が続いていました。ところが、2023年末~2024年前半頃についに底入れし、積極化姿勢へと転じてきたことが確認できます(図2)。

「図1 企業向け貸出残高の推移」(1995年12月末~2025年12月末、四半期)のグラフ 「図1 企業向け貸出残高の推移」
(1995年12月末~2025年12月末、四半期)

(出所)日銀の資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成

「図2 銀行の貸出スタンス」(2016年1月~2026年1月、四半期)のグラフ 「図2 銀行の貸出スタンス」
(2016年1月~2026年1月、四半期)

後方4四半期移動平均

(出所)日銀の資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成

利払い負担とのバランスにも注意が必要

有効な設備投資は生産性を向上させ、企業が直面する労働力不足を補いつつ、収益力向上にもつながります。その点、足元の企業の積極的な設備投資と、それを金融面で支える銀行の前向きな貸出スタンスは、中長期的な観点からも、経済にとって前向きの動きと考えられます。

一方で、借入の増加は利払い負担を増加させるため、先行きの企業収益の下押し要因にもなり得ることには注意が必要です。特に足元では、銀行の貸出金利がすでに約12年ぶりの水準まで上昇しています(図3)。早いペースで貸出が増加しているということは、活発な経済活動の裏側で、今後の利払い負担が蓄積しているということでもあります。現状のように、金利が上昇するもとでの強い資金需要については、企業の財務悪化リスクとのバランスも見ていく必要があるでしょう。

企業の設備投資は、短期的にも中長期的にも、経済の支えとなるものと期待されます。同時に、AIブームと相まった、行き過ぎた投資となっていないかに目を配ることも大切です。

「図3 貸出金利の推移」
(1995年1月~2026年1月、月次)のグラフ 「図3 貸出金利の推移」
(1995年1月~2026年1月、月次)

貸出約定平均金利、ストックベース

(出所)日銀の資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成

作成:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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