金利上昇=株価にネガティブ?

5月18日、日本の長期金利(10年物国債利回り)が一時2.8%まで上昇し、約29年半ぶりの高水準となりました。資源価格の高騰を背景に世界的な金利上昇が続いています。国内では、「首相が26年度補正予算案の編成を表明」と報じられたことなども影響したとみられます。

一般的には、金利が上昇するとお金を借りにくくなり、事業を拡大しにくくなります。その結果、利益が伸びず、株価が低迷するというプロセスが想定されます。この場合、「金利上昇=株価下落」に陥ります。しかし、この構図は必ずしも当てはまる訳ではありません。

金利上昇時の株価上昇

今から約20年前の2003年から2006年にかけて、約3年に渡り、金利と株価がともに大きく上がる時期がありました。

2003年6月に長期金利は0.430%まで低下していましたが、その後、日本の債券市場で発生した歴史的な金利の急騰も重なり、2006年4月には、2.0%台まで上昇しました。

この金利上昇の背景には、金融システムに対する信用不安の後退と、景気回復期待の高まりがありました。1990年代のバブル崩壊以降、日本の銀行が抱えたいわゆる不良債権問題(貸し出した資金が十分に回収できなくなり、銀行の経営を圧迫した問題)により、2003年4月には大手銀行でさえ破綻する可能性があるといった金融システム全体への信用不安がピークに達しました。このような環境のなか、日銀が金融緩和を強化したことなどで、金利は低水準に抑えられていました。しかし同年5月に、りそな銀行への公的資金投入が発表されたことで、銀行の破綻が回避されるとの認識が広まり、金融不安は後退しました。これにより資金の流れが変化し、景気の底打ち期待も相まって長期金利は上昇に転じました。

一方、株式市場でも同様に、金融不安の後退と景気回復期待を背景に上昇が続きました。2003年4月には日経平均株価は7,600円台とバブル崩壊後の最安値を記録しましたが、りそな銀行への公的資金投入を契機に株価は反転しました。その後は、郵政民営化に代表される小泉政権の構造改革への期待や、2005年の総選挙での与党大勝を受けた政策継続への安心感に加え、世界経済の成長や日本企業の好調な企業収益見通しを背景に、海外投資家の旺盛な買い需要が相場を押し上げました。2006年4月には日経平均株価は17,500円を上回り、3年間で約2.3倍となりました。

経済成長を続けられるか?

ご紹介した事例をはじめとして、日本における金利上昇のなかでの株価上昇局面を振り返ってみるとその共通点は、金利上昇を上回る経済成長、企業業績の向上が期待できるかどうかです。日々の金利の動きは株価に影響を与えますが、中長期的な観点からは、金利上昇を上回る経済成長を続けられるかがより重要と言えます。

また、資産形成において大切なのは、金利や株価の短期的な動きに振り回されないことです。市場は上下を繰り返しながらも、経済成長とともに長期的には上昇してきました。目先の値動きにとらわれず、長期的な経済成長を見据えて投資を続けることが、資産形成の大きな力になると言えるでしょう。

作成:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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