相続コラム

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財産の遺し方を考える

第3回 遺産は遺言で自由に処分できる

自分の財産は自由に処分できる

普段なにげなく、自分が持っている財産を自由に処分していますが、次のような制度的な裏づけがあります。

財産とは、「個人や法人が保有している経済的に価値のあるもの」ということができると思います。法は、この財産を目的とする権利すなわち「財産権」は、これを侵してはならないとし、財産の私有を認める私有財産制を制度的に保障しています。また、私有財産制度のもとで、自分の財産をどのように処分するかは自分自身で決めてよいとしています。それは、生前の処分に限らず、遺言による死後の処分についても同様です。

生前に遺言で自分の財産の分け方(処分方法)を決めておけばどうでしょう。法のルールである法定相続より、その遺言に示された財産の分け方が優先するということになります。生前の希望に沿った財産分けが行われるのです。

「遺留分」という制約

ただし、遺言による財産処分に一つだけ制約があります。それが「遺留分」です。一定の相続人に対して法が保障する最低限の相続割合です。いいかえれば、一定の相続人には相続財産の一定割合を取得請求することが出来る権利(遺留分権)が認められているということです。遺留分権を有する者を遺留分権利者といいます。

いくら遺言による財産処分が自由であるからといっても、これを無制限に認めてしまうと、それまで生活をともにしていた残された家族に経済的支障をきたす事態も起りえます。そのため、極端な遺産分けにならないよう、一定の相続人に対して、相続財産の一定割合を保障する方策が必要とされ、遺留分の制度が設けられています。いってみれば、私有財産制度のもとで保障される「財産処分の自由(遺言優先)」と、これに対する「法定相続」との調整を図ったものといえます。

次に、「遺留分」の具体的内容をみていきましょう。

相続人が誰であるかによって遺留分(最低限の相続割合)は異なります。また、すべての相続人に遺留分があるわけではありません。法は、遺留分の割合と遺留分権利者を次のとおり定めています。

@ 親や祖父母等の直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の1。

A @の場合以外の場合は相続財産の2分の1。

B 兄弟姉妹には遺留分はありません。

C 遺留分のある相続人が複数いる場合は全体の遺留分の法定相続割合。

一方、遺言による財産の分け方が遺留分を侵害している(最低限の相続割合を下回っている)からといって、その遺言がすべて無効になるということではありません。相続開始後、遺留分を侵害された相続人がその侵害された分を取り戻したいと思えば、取り戻しの権利をもって請求することが出来るにすぎないというだけです。

*「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」といいます。

死後の財産処分は遺言をもって自由に行えます。ただし、円滑な相続を考えれば、唯一の制約「遺留分」に十分留意した内容であることが必要だと思います。

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