相続コラム

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財産の遺し方を考える

第4回 遺言書を作成する前にやるべきことがある

「遺言書」を「遺書」と勘違いしてはいませんか。遺書は、死後に残された家族や友人へ自分の思いを伝えるためのもので、法的な拘束力はありません。一方、遺言書は、自分の死後の財産処分や身分に係る意思を実現させるためのもので、遺書にはない強い法的な拘束力があります。そのため、遺言書は民法で規定される厳格なルールのもとで作成されることになります。

したがって、自分の思いのままに綴る遺書とは違い、遺言書を作成するにあたっては、事前に注意すべきことや確認しておかなければならないことがいくつかありますので、お話ししたいと思います。

遺言書を作成するタイミング

遺言書は、強い法的な拘束力があるがゆえに、相続開始後にその作成にあたっての遺言者の意思能力の有無、ひいては遺言書の有効性を問われることがあります。意思伝達に支障が出てから作成した遺言書は、内容によっては争いの種になりやすいものです。したがって、心身ともに健康で判断力がある元気なうちに、第三者に影響されることなく作成することが肝要です。一旦作成した遺言書も、必要があれば、いつでも書き直しができますので、早過ぎるからなどという理由で作成を先送りして、結果、タイミングを失することのないようにしましょう。

財産の現況を把握し、問題があれば解決しておくこと

自分の認識している財産内容と実際とが違うことはよくあることです。遺言書を作成する前に以下の事項に留意してください。

@ 自分で認識している財産をリストアップしてみること。

A その上で、それぞれの財産の権利関係や所有形態に問題がないかを法的書面などによって確認し、問題があるようであれば解決しておくこと。
不動産については、登記簿によって名義を確認しておいてください。名義が亡父のままで、相続手続きが未了であったりすることがあります。また、名義借りの預金があったりします。これらの場合、自分の名義に変更しておきましょう。

B それぞれの財産の時価額や相続税額を承知しておくこと。
財産配分を考える際に、第3回コラムでお話ししました遺留分に留意しなければならない場合、算定基準となる財産の時価額が必要になります。また、各相続人の相続税額を念頭に金融資産の配分を考える必要もあります。

相続人が誰になるかを確認しておくこと

自分の認識していなかった相続人がいたということもときとしてあります。遺言書を作成するにあたっては、戸籍謄本によって相続人をしっかり確認しておいてください。相続権のある者が誰であるのかを認識して遺産配分を検討する必要があります。遺留分について配慮すべき相続人がいたり、円満な財産承継のために配慮が必要な相続人がいたりします。

確かな内容と方法で遺言書を作成するためには

遺言書を作成するには、法律知識が求められるとともに相続税についても承知しておく必要があります。また、作成した遺言が確実に実現されなければ意味がありません。そのためには、信頼できる相談相手を見つけることが大切です。法律知識を備え、相続手続きの実務にも詳しく、かつ遺言内容を実現する能力のある、弁護士・司法書士・税理士などの法律・税務の専門家や信託銀行などの金融機関がもっとも望ましい相談相手になると思います。

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