相続コラム

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第5回 遺言書は、作成することが目的ではない
−その内容が実現されてはじめて目的が達成される

遺言書は、作成することが目的ではありません。自分に万が一のことがあった場合に備えたものですから、その遺言書の内容が確実に実現されて、はじめて目的が達成されることになります。そのためには、遺言書の作り方はもちろんのこと、その保管方法、その内容を具体的に実現させるための手立てをしっかりたてておくことが必要です。

遺言書を作成するには、後日トラブルを招かない内容にしておく必要がある

遺言書を作る場合には、後日トラブルにならないように法律的な知識や税務的な知識が求められます。「法定相続」や「遺留分」について理解し、「相続税」について承知しておく必要があります。また、遺言の内容に矛盾や不明瞭な表現、不正確な表示がないようにしておかなければなりません。遺言の内容の実現が難しくなるからです。確実に遺言内容を実現するためにも、弁護士・司法書士・税理士などの法律・税務の専門家や信託銀行などの金融機関にご相談されることをお勧めします(第4回コラムをご参照ください)。

遺言書は、相続開始まで安全に保管され、相続開始以降相続人にタイムリーに且つ確実に開示されることが必要

次に、万が一のときまで、遺言書を安全に保管しておく必要があります。遺言の方式にはいくつかありますが、大半が公正証書によるものと自筆証書によるものです。自筆証書は、紛失・偽造・変造等の可能性がありますが、公正証書であればその可能性はなく確実に保管されます。

また、しっかりとした内容の遺言書であったとしても、万が一のとき相続人がその存在と内容を確実に知ることにならなければ、意味がありません。そのためにも、将来の遺言の執行※1を依頼した弁護士などの専門家や信託銀行などの金融機関に遺言書の保管※2を委ね、万が一のときに相続人にその遺言書の存在と内容を示すことができるようにしておく必要があります。

  • ※1 遺言の内容を実現するための手続き。
  • ※2 遺言公正証書は、作成した公証役場に原本が保管され、遺言者には正本や謄本が交付されます。
遺言執行者を指定し遺言内容の実現を託す

遺言の内容を実現するためには、さまざまな手続き(遺産の調査、財産の名義書換や現金化、財産の引渡しなど)が必要です。この遺言内容を実現するための手続きをおこなう人を、遺言執行者といいます。遺言書には、この遺言執行者を指定するのが通常です。なお、遺言執行者の指定がなければ、相続人全員が協力して手続きをすることになりますが、関係が良好でない場合には、執行手続きに支障が生じることにもなりかねません。

せっかく遺言をしても、その執行の良し悪しにより、自分の思いが実現できなくなっては元も子もありません。そのためにも、自分の意思で信頼できる者を選び、遺言書では忘れずに遺言執行者を指定しておくことが大切です。法律は、遺言で遺言執行者を指定することができると定めています。遺言執行者には、大切な財産の配分を任せるわけですから、財産管理の知識と経験があり、法律的にも明るく、相続人に対して中立的な立場の人や法人が適任といえるでしょう。

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