※2020年3月の取材に基づく記事となります。
健康寿命を伸ばすために必要なことのひとつは、いつまでも元気に歩けるということ。歩くことができなくなると外出がおっくうになり、結果的に体が弱っていく負のループに陥ってしまいます。そこで今回は、「NPO法人 日本ストレッチング協会」の講師である鈴木和孝さんに、“ウォーキングに役立つストレッチ”を教えていただきました。
NPO法人日本ストレッチング協会は、年齢や経験を問わず気軽にでき、アスリートの競技力向上にもつながるストレッチを普及することで地域に貢献するべく、2005年に設立されました。講習会の開催、講師の派遣を行い、スポーツ科学に基づいたストレッチの知識や方法を提供しています。
学生時代はサッカーに打ち込んだという鈴木さん。その経験を活かし、スポーツトレーナーとしてトレーニング指導を行うほか、鍼灸師として治療にもあたります。10年ほど前にスタジオ「ボディ・モーション・ラボ」を設立し、部活などでスポーツに打ち込む競技者・愛好家から、スポーツ経験のない地域のお年寄りまで、幅広い方々にストレッチ指導や鍼灸治療を行っています。
鈴木さんが指導や治療を行う中で実感したのは、どんなに治療をしても、患者に基礎的な体力がないと回復が遅れてしまうこと。
「やはり患者さん自身の体力をつけてもらうのが、根本的な治療には大切なんです。軽い運動やウォーキングなどで体力をつけておけば、怪我をしてしまっても回復が早いですね」(鈴木さん)
ただ、体力のないお年寄りの場合、急に運動を始めると転倒が心配です。ストレッチなら、体力がなくても運動経験がなくても気軽に始められます。運動を始めるための入り口として、ストレッチはとても適しています。
「正しい姿勢で怪我なくウォーキングできるようになるために、まずはストレッチで関節の可動域を広げるのがおすすめです」(鈴木さん)
多くの雑誌でストレッチ指導を行うほか、『腰痛改善! 開脚ストレッチ』『肩コリ解消! 背中合掌ストレッチ』(ともに宝島社)など本の監修も多数。
ちなみに、ストレッチを行うタイミングとして適しているのは、体が温かいとき。よく言われるのはお風呂上がりですが、朝もオススメと鈴木さん。
「特別な道具も準備もいらず、好きなときにすぐできるのがストレッチのいいところ。自分の生活リズムに合わせて、続けられるタイミングで行うのが一番です。なかには、毎朝起きぬけにストレッチをするという人もいらっしゃいます。日によって可動域が違っていて、その日のコンディションのチェックになるんです」(鈴木さん)
今回は鈴木さん監修のもと、効果的にウォーキングできるようになるためのストレッチメニューを紹介します。しっかりした歩幅で歩けるようになるための下半身のストレッチに加えて、腕をしっかり振れるようになるための肩のストレッチと、全体で5つの部位を左右で繰り返して1セット、それを毎日2セットで5分ほどになります。
「筋トレは効果が現れるまでに数週間かかりますが、ストレッチはすぐに効果が実感できるのでやってみたら楽しく続けられると思います。1セット目よりも2セット目の方が、可動域が広がるほどなんです。そして毎日続けるうちに、だんだんとしっかり腕を振って最適な歩幅で歩けるようになっていきます。まずは2週間、続けてみてください」(鈴木さん)
「ボディ・モーション・ラボ」では、マンツーマンや少人数での指導が多いそう。「ストレッチは関節の可動域を広げるだけでなく、筋力アップ、体のバランス保持にも役立ちます。また、副交感神経が優位になるのでリラックス効果も期待できますよ」(鈴木さん)
準備いらずで誰でも気軽にでき、すぐに効果が実感できるストレッチ。ぜひ自宅での毎日の習慣に取り入れてみてください。
「ボディ・モーション・ラボ」
千葉県千葉市美浜区真砂4-2-5
セザール検見川浜1F
TEL.043-376-2256(受付時間9:00〜20:00)
9:30〜20:00(予約制)
日曜休
https://nobiru-karada.com/
JR京葉線「検見川浜駅」から徒歩2分とアクセス良好。解剖学とスポーツ医学、東洋医学をベースとしたストレッチ指導、リラクゼーション 、リハビリ指導に加え、自宅でもできるストレッチメニューの作成も行っている。また、ヨガ講師を招いて教室を開くなど、地域の健康づくりの拠点として貢献。
取材・文/明知真理子、三木匡(クエストルーム) 撮影/武井優美