公益信託と財団法人の比較
公益信託は、個人や法人の資金を公益活動に活用するという点で、財団法人とほぼ同様の社会的機能を果たしていますが、その2つの制度には主に次のような違いがあります。
公益信託 | 公益財団法人 | |
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設定手続き |
三井住友信託銀行(受託者)が設定に必要な手続きを行うので、委託者(お客さま)が主務官庁折衝等をする必要はない。
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設立者は、以下の手続きをする。また、公証人の定款認証料、登録免許税等の費用も負担する。
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事業運営 |
受託者が行う。 (公益信託は独立した法人格をもたず、財産は受託者が信託財産として所有) |
法人として組織される。 評議員・評議員会、理事・理事会、監事が置かれ、業務執行は代表理事、業務執行理事が行う。 |
事務所の設置 |
受託者が事務を行うため、事務所と事務を担当する職員を委託者が用意する必要はない。
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固有の事務所と職員雇用が必要。 (設立者等が自己の事務所と職員を無償で提供することはできる) |
収益事業 |
できない。
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公益目的事業の比率が50%以上である必要があるが、その範囲内であれば収益事業もできる。
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事業内容 |
原則として金銭給付型の活動に限定される(奨学金、助成金、表彰金の給付など)。
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奨学金給付のような金銭給付型の活動のほか、美術館運営等の事業執行型の活動もできる。
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基本財産の取崩し |
信託財産を取り崩して事業に必要な資金に充てることが標準的な運営方法。
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基本財産を置くときは定款で定めるところにより維持しなければならず、また設立目的である事業を行うことを妨げることとなる処分はできない。 (やむを得ない事情があるときは取り崩せる) |
事業の終了 |
一定期間で信託財産を取り崩しながら事業を行うときは、財産の消滅をもって公益信託は終了する。
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基本財産の滅失その他の事由による設立目的である事業の実施不能、定款で定めた解散事由の発生等により解散する。 なお、公益財団法人は、清算時の残余財産を国等に寄付しなければならない。 |
受け入れる財産の種類 |
税制上の制約から金銭に限定されている。
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特に制限はない。 ただし、土地等を寄付したときは原則として寄付者にみなし譲渡所得税が課される。 (所定の厳格な要件を充足しているときは、国税庁長官の承認を得て非課税とする道もある) |
資金規模 |
信託管理人や運営委員の方々のご協力を仰ぐにふさわしい規模(件数・金額)の助成を行わなければならないが、公益信託は受託者が事業運営を行い独自の事務所等が不要であるので運営費が比較的低廉で済む。一方有期の信託とし、信託財産を取り崩して運営資金に充てるのが通常の運営方法なので、公益財団法人に比べて小規模の資金で設定が可能。
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制度上は300万円相当額の財産の拠出で設立可能であるが、特殊な事情がない限り、その設立には相当規模の資金が必要。 (独自の事務所と職員を置き、公益目的事業等を実施し、一定レベル以上の会計処理等を行って行政庁への所定の定期報告書の提出等を行うためには、相当額の事業費・運営経費が必要) |
公益信託に関するご相談
三井住友信託銀行 個人資産受託業務部 公益信託チーム
電話:03-5232-8910