2024年の注目イベント 米大統領選挙

2024年の最注目イベントの1つが米国大統領選挙(11月5日投開票)であることに異論は少ないと思われます。現時点では民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の「再戦」の様相です。しかし、満81歳のバイデン氏は高齢による健康面や執務能力への不安がくすぶり、トランプ氏は2024年3月以降に、前回選挙での選挙結果転覆疑惑や2021年の議会乱入事件への関与を巡る公判が開始されるため、新たな有力候補者が急浮上する可能性もありそうです。
大統領選挙と同時に実施される、上下院の議会選挙の結果も注目されます。仮にトランプ氏が勝利した場合、外交や移民対応など大統領令で対応できる政策は大幅に変わりそうですが、「ねじれ議会」のもとでは、議会の承認が必要な減税策や財政出動(または財政赤字削減)は行うことができません。2016年の大統領選挙はトランプ氏が勝利、共和党が上下院で多数確保し、同党が掲げる企業寄りの政策への期待から米国株式が急上昇しました。前回2020年はバイデン氏が勝利し、翌2021年1月補選を経て民主党の上下院多数が確定し、コロナ禍対応の大規模な財政出動が実現しました。一方、2018年、2022年の中間選挙では上下院で多数が分かれ、議会の機能不全で政策の停滞が続きました。
現状は上院は民主党が多数、下院は共和党が多数ですが、共にその差は僅かです。2022年の中間選挙では、高インフレへの不満から与党・民主党が劣勢との見方が多かったものの、トランプ氏推薦候補の落選が目立ったほか、人工妊娠中絶の権利維持や民主主義を守るといった民主党の主張に一定の支持があり、接戦となりました。トランプ氏vsバイデン氏となる場合はこうした構図が続きそうです。足元では中東情勢への対応などを巡り、バイデン政権に対する支持率は低迷しています。株価やGDP(国内総生産)成長率を見るかぎり米国経済は堅調ですが、高インフレ・高金利が長期化する中、中低所得者層を中心に与党に対する不満は高まっているとみられます。2024年の金融市場の行方は、米国経済の軟着陸の成否がカギを握ると思われますが、選挙結果にも大きく影響を与えそうです。
(2021年5月1日~2023年12月17日、日次)

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
<作成:三井住友トラスト・アセットマネジメント>