2025年の注目イベントは?

いよいよ2025年が始まりました。年初恒例の「今年の注目イベント」ですが、何を思い浮べられますか?今年は五輪やサッカー、ラクビーなどのW杯の開催はないものの、世界陸上(9月13日~21日)が18年ぶりに日本で開催されます。もっとも、スポーツ界における国民的な関心度の高さでは、MLB大谷選手の「二刀流」復活がトップかもしれません。一方、市場関係者においては、国内の大規模イベントであるはずの大阪・関西万博(4月13日~10月13日)については、残念ながら「関心度の低さが注目されている」といった印象です。
2025年は、米トランプ新政権の「一挙手一投足」も注目イベントといっても過言はなさそうです。2017年の前政権スタート時は共和党内にも反トランプ勢力が相応に存在したほか、トランプ氏自身が行政権力の行使に不慣れだったこと、閣僚人事も円滑に進まなかったことが障害となりました。一方、今回は忠誠心と能力の双方に優れた面々が主要閣僚に任じられており、政策実現へ向けた推進力は大幅にパワーアップしています。
1~3月はいわゆる「ハネムーン期間※1」に当たりますが、トランプ氏は選挙戦中から「当選後は、一日だけ独裁者となる」と公言しており、まずは予算や立法的な措置を待たずに対応できる施策の実現に注力するとみられます。合成麻薬や不法移民の流入への対抗措置として、中国やメキシコ、カナダへの関税の引き上げが見込まれるほか、バイデン政権が進めた石油や天然ガスなどの採掘規制の緩和、パリ協定(気候変動問題に関する国際的な枠組み)からの脱退※2、議会占拠事件で有罪となった支持者らの恩赦などが予想されます。また、ウクライナ戦争の終結へ向けた外交アクションも早々に強まりそうです。5月にはカナダのアルバータ州・カナナスキスでG7サミット(主要7カ国首脳会議)が予定されています。まずは安全保障問題に加えて、貿易不均衡問題も俎上にのぼる可能性があります。
- ※1政権発足後100日間。マスコミや野党が過度な批判や性急な評価を避け、新政権の政策姿勢を見極める期間
- ※2前回の政権時に一度離脱。民主党政権となった2021年に復帰
トランプ政策のうち株式市場での期待が大きい大規模減税の延長や法人税減税などの見通しはどうでしょうか?これらは来年度予算の一部として盛り込まれ、議会で承認される必要があります。米国の財政年度は10月からスタートするため、9月末が予算の成立期限となります。夏場にかけて、夏季休会をはさみつつ米議会において減税の実現度合やバイデン政権で成立したインフレ抑制法の修正がどの程度進むのか注目されそうです。予算の内容が先行きの米国の景気、インフレ、財政などを大きく左右するとみられ、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策姿勢にも影響しそうです。
米国ではトランプ政権が盤石である一方、欧州や日本では政局混迷が続きそうです。昨年11月に連立政権が崩壊したドイツは2月に前倒しの総選挙が実施されます。支持率は最大野党の「キリスト教民主社会同盟」が1位、極右とされる「AfD・ドイツのための選択肢」が2位となり、与党の苦戦は必至の情勢です。フランスは昨年12月に予算案を巡って野党の内閣不信任案が可決されるなど少数与党による政権運営が難航しており、7月以降は解散・総選挙となる可能性もありそうです。日本国内でも7月に参議院選挙が見込まれますが、昨今はSNSなどでの情報発信で世論が急変するケースが続いており、予断を許さない状況となりそうです。
<作成:三井住友トラスト・アセットマネジメント>