春は、進学や就職など、新たな生活をスタートさせる方も多い季節です。

今回は、お子さま・お孫さまの将来を後押しする贈与税非課税制度をご紹介します。

教育や結婚・出産にかかる費用の一括贈与

例えば、教育については公立・私立、結婚についてはどんな結婚式にするのか、また、公的な支援も充実してきているため家計の負担の大きさはさまざまですが、教育については幼稚園から大学までの入学費・授業料や習い事などで数百万円~数千万円、結婚費用は数百万円、出産費用についても数十万円かかる場合があります。

(出典)
  • 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」
  • 文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」
  • 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「私立大学の初年度学生納付金等の推移」
  • (独)日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」
  • 日本政策金融公庫「令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
  • 株式会社リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」
  • 厚生労働省「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について」

これらの資金について「貯める・殖やす」「借りる」といった方法に加え、「もらう」ことで準備することもできます。

生前贈与については、前回のコラムでご紹介したように、暦年課税の基礎控除110万円以下の場合や、相続時精算課税制度を利用した場合には、贈与税を負担せずに行うことが可能です。

また、親御さまなどがご家族のために日常生活に必要な費用や教育費について、その都度必要な額を贈与する場合には、そもそも贈与税の対象にはなりません。

ただ、先々にお子さまやお孫さまが使われる分を見越し、一括して相応の金額を贈与する場合には、贈与税の対象となってしまう場合があります。

教育資金の一括贈与の非課税枠:1,500万円

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」は、30歳未満の子供や孫に、教育資金を最大1,500万円まで非課税で贈与できる制度です。お子さまやお孫さまの名義で信託銀行などに専用口座を開設し、そこに贈与する教育資金を入金することが条件となり、2026年3月31日まで利用できます。

制度の概要
贈与をする方 贈与を受ける方の直系尊属である個人(曾祖父母・祖父母・父母など)
贈与を受ける方

30歳未満の個人

贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限られます。

非課税となる金額

贈与を受ける方1人につき、1,500万円

学校など以外は500万円まで。

教育資金の代表例 学校に直接支払うもの:入学に係る費用、教科書代、給食費、修学旅行の旅費など
学校以外の教育活動に必要なもの:学習塾やスポーツなどの習い事に関する費用
その他:通学のための定期券代や留学する際の渡航費など
利用するには 金融機関において教育資金口座を開設
適用期間

2026年3月31日まで

金融機関毎に最終申込受付時期が異なります。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税枠:1,000万円

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」は、18歳以上50歳未満のお子さまやお孫さまに、結婚・子育て資金を最大1,000万円まで非課税でまとめて贈与できる制度です。このうち結婚関連の費用に充てることができるのは300万円までです。2025年3月31日まで利用できます。

制度の概要
贈与をする方 贈与を受ける方の直系尊属である個人(曾祖父母・祖父母・父母など)
贈与を受ける方

18歳以上50歳未満の個人

贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限られます。

非課税となる金額

贈与を受ける方1人につき、1,000万円

結婚関連の出費に宛てる資金は300万円まで

教育資金の代表例
  • 結婚式費用
  • 家賃や礼金など、新居にかかる費用(引っ越し費用含む)
  • 不妊治療の費用、分娩費用、産後ケア費用
  • 子供の医療費、幼稚園・保育所の入園料・保育料
利用するには 金融機関において結婚・子育て資金口座を開設
適用期間

2025年3月31日まで

金融機関毎に最終申込受付時期が異なります。

贈与をする方の“想い”に沿ってお使いいただけます

当社でも、ご紹介した非課税制度を活用するための信託商品として、「教育資金贈与信託<愛称:孫への想い>」「結婚・子育て支援信託<愛称:つなぐ想い>」をご提供しています。

贈与を受けられた方(上記信託商品の受益者さまやそのご両親)からは、「将来の選択肢が拡がりました」「一括して資金の贈与を受けることができ、結婚・子育てや教育に係る将来の計画が立てやすくなりました」といったお声、贈与をした方(上記信託商品の委託者さま)からは、「将来の使い道が限定されているので、こちらの想いに沿った使い方をしてもらえるのがよい」といったお声をいただいています。

なお、今回ご紹介した非課税制度については、贈与を受ける方が所定の年齢に達した際に残額がある場合には贈与税の対象に、また、贈与をする方が途中で亡くなった場合にはその時点の残額が相続税の対象になるなど、留意すべき点もあります。

生前贈与に関しては、前回のコラムでご紹介した暦年課税や相続時精算課税、また、非課税制度についても今回ご紹介したものの他に住宅取得等資金に係る制度もあり、複雑と感じる方も少なくありません。

まずは、ご自身のご事情や想いにあった対策が何かを考えるために、専門家に相談すると良いでしょう。

三井住友信託銀行 個人企画部 栁井淳邦

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